『マルモのおきて』は、2011年4月24日から7月3日まで、フジテレビ系列のドラマチック・サンデー(日曜21:00 - 21:54〈JST〉)枠で放送されたテレビドラマ。初回は20分拡大、第7話は10分拡大、最終話は30分拡大で放送された。阿部サダヲと芦田愛菜のダブル主演作。本編全11話、またほかにスペシャルドラマ2弾ある。
中国語でのタイトル名:《MARUMO的規定》、《高木護的規矩》、《阿護一家》、《阿護的法則》、《寶貝的生活守則》、《契爸唔易做》などなど。
情報
- ジャンル: テレビドラマ
- 放送時間: 日曜日21:00 - 21:54(54分)
- 放送期間: 2011年4月24日 - 7月3日(11回)
- 放送国: 日本
- 制作局: フジテレビ, 共同テレビ
- 企画: 瀧山麻土香, 水野綾子(編成企画)
- 演出: 河野圭太, 城宝秀則, 八十島美也子
- 脚本: 櫻井剛, 阿相クミコ
- 音楽: 澤野弘之, 山田豊
- 主題歌: 薫と友樹、たまにムック。「マル・マル・モリ・モリ!」
- 挿入歌: 谷村詩織「きみのとなりで」(dao)
- プロデューサー: 橋本芙美
- 出演者: 阿部サダヲ, 芦田愛菜, 鈴木福, 比嘉愛未, 伊武雅刀, 世良公則 他
概要
30代の独身サラリーマン・主人公が、死亡した親友の忘れ形見である幼い双子を引き取り、懸命に育てながらも共に生きる姿を描く。
阿部は本作が民放の連続ドラマ初主演となり、芦田は連続ドラマ初主演となった。また、芦田は第1話放送日における年齢で6歳(放送期間中に7歳の誕生日を迎える)であり、ゴールデン帯の連続ドラマ史上最年少での主演となった。共演の世良公則は1994年の『白の条件』以来、17年ぶりの連続ドラマ出演でもあった。
子役の鈴木福の出世作でもある。また、放送当時無名であった本田望結も出演している。
なお、ドラマチック・サンデーを1社提供で協賛する花王は東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の影響により提供クレジット表示を第2話まで自粛していた。番組中の花王のCMは第1話から通常通り行われている。また、第5話から花王の洗剤「アタックNeo」と本作がコラボレーションしたCMが番組内で放送された。
初回視聴率は最低の11.6%であり、同時期ドラマの中では殆ど注目されていなかったが回を追う毎に視聴率が上昇し、最終回視聴率はフジテレビの連続ドラマでは2年ぶりに20%を超える23.9%を記録した。視聴率が高くなってくると、前評判の高かった裏の『JIN-仁-』との視聴率デッドヒートも話題となったが最終的には『JIN-仁-』が逃げ切った。
また、芦田・鈴木が役名の薫と友樹、たまにムック。の名義で担当した主題歌「マル・マル・モリ・モリ!」もエンディングでの2人のダンスの振り付けとともに好評を呼んでオリコン調べでシングルが50万枚を超える大ヒットとなり、このユニットで同年12月31日放送のNHK『第62回NHK紅白歌合戦』に出場を果たした。
「ドラマチック・サンデー」が非ネットだったクロスネット局のテレビ宮崎や系列外の山梨放送、青森テレビ、テレビ山口も本作を時差ネットした。青森テレビとテレビ山口は「JIN-仁-」との両方のネットを行ったことになる。
最終回終了後、スペシャルドラマの告知がなされ、2011年10月9日に放送された。
2014年9月28日には本作から3年後の動向を描いたスペシャル第2弾『マルモのおきてスペシャル2014』が放送された。この作品はビデオリサーチが発表したタイムシフト視聴率で6.4%となり、6月30日 - 9月28日でのランキング4位を記録している。
あらすじ
連続ドラマ
高木護は大手文具メーカー『あけぼの文具』のお客様相談室に勤務する平社員。学生時代は野球部に所属する万年補欠の捕手だった。ある日、野球部の同窓会が催され、護は野球部時代にバッテリーを組んでいた投手、笹倉純一郎と久しぶりの再会を果たす。純一郎は妻と離婚後、双子の薫と友樹を男手ひとつで育てており、この上なく慈しんでいた。
それから間もなく、勤務中に同級生から一本の電話が入り、純一郎ががんで亡くなったと告げられ、護は激しく動揺する。純一郎は余命いくばくもない事を周囲に、特に護に気遣わせないようにと口止めしていたのだ。
両親を失った幼い薫と友樹は、それぞれ別の親戚のもとに引き取られる事を余儀なくされる。父を亡くした上、離れ離れになることは双子にとって辛く悲しいものであった。それから数日後、友樹の姿が消えたと連絡を受けた護は、薫と共に探し回り、犬のムックを連れた友樹を見つける。親戚の元に戻ることを頑なに拒む双子の姿に、護は二人を引き取る決意をする。
紆余曲折を経て始まった、三人と一匹の共同生活。護は、自分たちは「家族」だと二人に説き、改めて自分の名前を伝えるも、薫と友樹は護(まもる)のことを「マルモ」と呼ぶようになる。護は双子との間で「おきてノート」を作り、不器用ながらも「家族」となっていく。
スペシャル第1弾
放送日: 2011年10月9日
再び護の基で暮らすことになった薫と友樹。学校が夏休みに入り、護は二人を大学時代の後輩である藤沢大輔が営んでいる山梨のブドウ園へ連れて行くことに。そこで薫と友樹は大輔の子供の翔太と菜々の兄妹と仲良くなり、思う存分夏休みを満喫する。
そんな中、彩から「陽介が倒れた」との連絡を受けた護は双子を山梨に残して東京に一旦戻ることに。ブドウ園に留まった薫と友樹は、翔太と菜々の父親と母親の理沙との関係があまり上手くいってないことに気づく。
スペシャル第2弾
放送日: 2014年9月28日
薫と友樹が護の基で暮らし始めてから3年後が経ち、2人は小学4年生に進級。薫はダンス、友樹は昆虫採集の真っ最中であった。成人の半分を迎えた2人は学校の授業で「自分物語」を作成することに。
一方、護は双子の実母のあゆみからの一言でそろそろ2人をあゆみの基へ帰すべきでは、と悩みだす。そんな中、上司の鮫島から彼の所へ、マレーシアへの海外勤務の話が持ちかかる。
キャスト
高木家
笹倉 薫(6→7→10)(ささくら かおる)
演 - 芦田愛菜
本作の準主人公。純一郎の長女で、双子の姉。春から新一年生。母親がおらず、弟・友樹が泣き虫であるため、無意識のうちにしっかり者に成長した。利口で大人顔負けの受け答えをするが内面では色々なことを我慢していたり、自身も護に叱られて泣き出すなどまだまだ子供。弟の友樹に対してはお風呂の後にドライヤーをかけてあげたり、彼が泣き出した際におんぶをしようとするなど姉として頑張っている。常に「友樹を守る」という意識を強く持ち、彼のことをよく理解している。父から言われた「友樹とずっと一緒にいるんだぞ」という言葉を固く守っている。食器は当初、護の家にあった地味な物であったが、5話以降は友樹と同様に護の母の節子が購入してくれた子供用の物を使用している。好物はざるそば。身長41㎝、体重2180gで誕生。
番組内で7歳の誕生日を迎えているが、芦田本人も放送期間中に7歳の誕生日を迎えている。
ムック
演 - ムック(ミニチュアシュナウザー)[声 - 岡亮]
正体不明のミニチュア・シュナウザー犬。表情が「(ポンキッキシリーズの)ムックに似ているから」との理由で友樹が命名した。子供の声で人間の言葉を話すが、護と双子以外の人間の前では一切喋らない。友樹が親戚の家から家出した際に出会い、仲良くなる。双子に懐いており、励ましたり勇気づけたりして、彼らの心の支えになっていく。常に双子の味方であり、護が何かしでかす度に厳しく指南する。護とは対立することが多いが、鋭い一言により、結果的に護にとっていい方向に物事が進むようになる。当初は護も精神的なストレスによる幻聴だと考えていたが、双子のことで自分から相談を持ちかけるなど、次第に距離を縮めていく。鯖缶とコハダが好物で、じゃんけんはグーとパー(それも自己申告)しか出せない。最終回において、その正体は笹倉の魂が宿っていた事が判明する。また友樹、薫同様『マルモ』と呼んでいたが最終回で『マモル』と呼んだ。最終回で喋れなくなったが次の日の朝は何故か喋れる様になった。
スペシャル第2弾では薫の子役のオーディションに受かるために「ムックが死んでしまった」という設定で泣く練習台にされていた。また、声を担当する岡の成長に伴い声質がやや低くなっている。
撮影では、ストレスを防ぐためにリハーサルや可能な範囲の撮影はぬいぐるみで行い、本物の犬の出番は一発撮りとしていた。動きは餌(コロッケ)を使って誘導しており、セットとして組まれていた「マルモの家」には、そのための仕掛けが多数用意されている。なおそのぬいぐるみは、現場ではムックの身代わりということで「ガチャピン」と呼ばれていたらしい。
居酒屋
畑中 彩(25→28)(はたなか あや)
演 - 比嘉愛未
陽介の一人娘で本作のヒロイン。薫と友樹が通っている小学校の卒業生。バツイチで現在は実家に戻っている。2話で護達が遊びから帰った直後にムックの後姿を目撃し、確かめようとして部屋に入った際に双子の事情を知ることになる。それ以降は、お姉さん代わりとして護が仕事でいない間などには護に代わって双子やムックの面倒を見るようになり[7]、護たちが「家族」になっていく様子を見て家族のあり方を考えるようになる。当初は護を頼りないと思っており、叱咤することも多かったが双子達を懸命に育てる護の姿を見て次第に惹かれていく。父親同様、ムックが喋ることは知らない。双子達からは「彩ちゃん」と呼ばれている。
スペシャル第2弾ではカニチャーハンに入れる具材(カニかまかカニの肉)のことで護と意見が対立し、仲違いしている。物語の最後で護からの告白(ラブレター)に対し、それよりも一段上の結婚という形で了承し、父親を含めた周囲を驚かせた。また、髪型がショートヘアになっている。
あけぼの文具
牧村 かな(30→33)(まきむら かな)
演 - 滝沢沙織
本作のもうひとりのヒロイン。広報部所属であけぼの文具のマドンナ的存在。業務上、時々お客様相談室を訪れる。護が好意を寄せていた相手で、交際を始めるも、護が薫たちの親代わりであることに戸惑いを覚える。最終的には破局するが、その後も護のことを応援している。
スペシャル第2弾では既に妊娠して近々出産が決まっている。
尾崎 凛花(22→25)(おざき りんか)
演 - 外岡えりか(元アイドリング!!!)
お客様相談室所属の若手派遣社員。最年少かつ書類整理、雑務処理担当。当時の職場では護の向かいの席に座っている。初めは護をロリコンではないかと疑っていたが、双子の存在を知ってからは自身も協力すると申し出る。将来はエステティシャンになることを夢見ている。
スペシャル第2弾では同じ部署に属する真島と交際し、結婚する。
その他
青木 あゆみ(あおき あゆみ)
演 - 鶴田真由
純一郎の元妻、薫・友樹の実母。第7・9 - 最終話・スペシャル1.2弾に登場。育児ノイローゼを患い、2人を捨てる形で家出。以来、そのことに負い目を感じ、ずっと子どもたちのことを想い続けていた。純一郎とは離婚したが、薫たちにとって既に故人ということになっていた。我が子との再会を果たすも、自分が母親とは告げずに彼らと接することになる。最終的に双子に実母であることを告げた上で引き取ることになるが、双子と護の固い絆を知り、護のもとに双子を再び預けることにする。薫と友樹は当初、「おばちゃん」と呼んでいたが、実母であることを知った後は「ママ」に変えた。
ゲスト
スペシャル第一弾
藤沢 理沙(ふじさわ りさ)
演 - 白石美帆
護の大学の後輩で大輔の妻。かつては野球部のマネージャーをやっていた。昔は大輔のぶどう園の手伝いをしており仲も良かったが、子供たちの将来のために東京で暮らした方がいいと考えるようになってからは意見が衝突するようになってしまった。現在は在宅で別の仕事をしており、忙しくて翔太と菜々の面倒があまり見られていない。最終的に二人を連れて家を出て行くがマルモが河童に変装した際、翔太と奈々の本心を知り大輔と和解しまた一緒に暮らせるようになった。
藤沢 菜々(ふじさわ なな)
演 - 清水詩音
大輔の長女で翔太の妹。翔太と薫と友樹と同様に、「ぶどう戦士パープルフォー」を結成していた。心の中では翔太同様、二人が別れることを反対していた。