◆会計検査院〔財政〕🔗⭐🔉振
◆会計検査院〔財政〕
かいけいけんさいん
→図 【決算】
→図 【会計検査院】
決算は「一会計年度内における国の収入支出の実績を確定的計数をもって表示する国家行為」である。決算は、国民の代表者である国会による政治的見地からの検査とともに、会計上の専門機関である会計検査院による法的見地からの検査が行われる。決算は、毎年会計検査院の検査を受け、内閣は次の年度にその検査報告とともに国会に提出しなければならない(九〇条一項)。決算は過去の収支にかかわるからそれ自体が予算のように法的拘束力を持つものではない。また、決算が不適格であると判定されても、それで決算が無効とされたり、取り消されたりする効果を持つものではない。しかし、決算が提出されることにより国会ひいては国民の政府に対する政治的批判の判断材料が提供され、またそれが正当とされることによりその年度の財政に関する政府の責任が解除される。
検査院はその性質上内閣からの独立が求められる。これを受けて、会計検査院法一条は「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する」と規定する。会計検査院は三人の検査官をもって構成する検査官会議と事務総局をもって組織される(検査院法二条)。検査官は、両議院の同意を経て、内閣が任命する(同四条一項)が、法に定めのある場合(同六条・七条・四条四項)を除いて、その意に反してその官を失うことがない(同八条)。また人事院などと同様に規則制定権が与えられている(同三八条・一一条一項)。
会計検査院は憲法九〇条による国の収入支出の決算の検査を行うほか、法律に定める会計(NHKなど)の検査を行う(検査院法二〇条一項)。また常時会計検査を行い、会計経理を監督し、その適正を期し、かつ、是正を図る(同二〇条二項)。国の収入支出の決算の検査は、単なる調査結果の報告ではなく、国の収支の決算を「確認」する効果を持つ(同二一条)。「確認」とは、「決算の合法性および適確性に関する一般的なまた最終的な判定」である。
これらの権限を行うために、検査院は書類の提出や質問・出頭を要求する権限を持ち(同二四条・二五条・二六条)会計事務を処理する職員の懲戒処分の要求(同三一条)、違法不当な会計処理がある場合や法令・制度の改善が必要とする事項があると認める場合には、本属長官または関係者や主務官庁その他の責任者に意見を述べたり改善を要求するなどの権限を持つ(同三四条・三六条)。なお、これらの要求に対して各機関が従わない場合の罰則規定はない。


◆会計帳簿〔商法総則〕🔗⭐🔉振
◆会計帳簿〔商法総則〕
かいけいちょうぼ
商人の営業財産(企業に属する財産)の増減変化の経過および取引の状況を一定の方法に従い組織的に記録する帳簿で、貸借対照表および損益計算書を作成する基礎となる会計記録をいい、商法上作成が義務付けられている商業帳簿の一つである。取引の都度その順序に従って要領を摘記する簿記会計上の日記帳のみならず、この取引を貸借両面に仕訳する仕訳帳(伝票で代用できる)、その勘定残高を転記する総勘定元帳その他の補助簿(金銭出納帳、固定資産台帳、売上帳、掛売帳など)等を含む総称である。商法上、その記載事項として、日々の取引のみでなく営業上の財産に影響を及ぼすべき一切の事項(盗難、火災、風水害、地震その他不法行為による損害など)のほか、個人商人においては開業時および毎決算期、会社においては成立時および毎決算期における営業上の財産とその価格の記載を要求しているのは(三三条一項)、かつて商法上作成が要求されていた財産目録に代わる役割を、会計帳簿に持たせるためである。記載方法については法は整然かつ明瞭であること、つまり公正なる会計慣行に従うべきことを定めるにすぎず(三二条一項・二項)、複式簿記であると単式簿記であるとはこれを問わない。
◆会計帳簿・書類閲覧権〔株式会社〕🔗⭐🔉振
◆会計帳簿・書類閲覧権〔株式会社〕
かいけいちょうぼ・しょるいえつらんけん
→図 【会計帳簿・書類閲覧権】
→図 【株主の権利】
株主が会社の会計帳簿および書類を閲覧することのできる権利。米国法によれば、株式会社は株主が定款という契約によって結合したものだとされ、取締役は株主の受任者であり、会社の財産は、株主の共有財産に属し、会計帳簿は取締役が株主の受任者として行った業務の記録であると解されている。
したがって委任者の株主は、いつでも会計記録を閲覧できるという結論が出るのであるが、わが国でこの思想をそのまま取り入れることは危険が多いので少数株主権としてこれを採用することにした。すなわち発行済株式総数の一〇〇分の三以上に当たる株主は、理由を付した書面を提出して、会計の帳簿および書類の閲覧を求めることができる(二九三条の六)。株主がこの権利を行使するには、善意でかつ適当な目的を有することを前提とする。そうでない場合は、会社は株主の請求を拒むことができる(二九三条の七)。


→◆監査役の職務と権限〔株式会社〕🔗⭐🔉振
◆監査役の職務と権限〔株式会社〕
かんさやくのしょくむとけんげん
→図 【監査役の制限】
監査役の職務は取締役の職務の執行を監査することである(二七四条一項)。これは昭和四九年の改正によって監査役の監査が従来の会計監査のほかに業務監査まで拡大された結果である。従来は、会計監査は監査役が、業務監査は取締役会が各々に担当していると解されていたが、後者の監査は、むしろ業務執行の一態様であって、業務監査の結果の報告は株主に対してなされるものではなく、その実効性に疑問を持たれていた。監査役による業務監査については、業務執行の適法性監査に限定されるのか、妥当性監査にも及ぶのか争いがあるが多数説は、妥当性監査に及ばないと解している。また計算書類の監査報告をその職務権限としているのは従来どおりであるが、昭和四九年の改正により、監査報告書の記載事項が法定されることになった(二八一条の三第二項)。この記載事項は、会計監査・業務監査に共通する事項(同項一号・一一号)、会計監査に関する事項(同項二号〜五号・七号)、業務監査に関する事項(同項六号・八号・一〇号)、それぞれの付属明細書に関する事項(同項九号)に分けられる。監査役の職務を全うするために種々の権限が認められている。
まず、監査役はいつでも取締役および支配人その他の使用人に対し営業の報告を求め、または会社の業務および財産の状況を調査することができる(二七四条二項)。監査役の請求があった場合には、請求を受けた者は会社の秘密を理由にこれを拒み得ない。また妨害等で必要な調査ができなかった場合には、その旨を監査報告書に記載しなければならない(二八一条の三第二項一一号)。更に、子会社に対しても報告請求権や調査権が認められる(「監査役の子会社に対する調査権」の項参照)。監査役はまた取締役が株主総会に提出しようとする議案および書類を調査し、法令もしくは定款に違反しまたは著しく不当な事項があると認めるときは、株主総会にその意見を報告しなければならない(二七五条)。
次に、監査役には取締役会に出席し、意見を述べる権限が認められている(二六〇条の三)。監査役は業務監査をする業務を負い(二七四条一項)、また善良なる管理者の注意義務をもって職務を遂行しなければならないので、取締役会への出席権限は義務でもあると解される。取締役会においては、二七四条二項との関連から、必要があれば説明を求めることができる。監査役への招集通知漏れは事柄の性質上、取締役会決議の無効の問題を生ずる(二五九条の二)。
ここで出席意見陳述権の行使と関連して一定の場合に監査役自ら取締役会の招集をなし得ることも認められている(二六〇条の三第三項・同条四項・二五九条三項)。
また、取締役が会社の目的の範囲内にない行為、その他法令または定款に違反する行為をなし、これによって会社に著しい損害を生ずるおそれがある場合には、監査役は取締役に対しその行為をやめるべきことを請求することができる(二七五条の二第一項)。これは事前に業務執行の適正を図るためであり、監査役の権限であると同時に義務でもある。差止めの対象は、代表取締役、業務担当取締役または平取締役のいずれの行為であってもよい。差止めの方法は口頭でも書面でも、または訴えによってもよいが、差止めの仮処分申請については、裁判所は監査役に保証を立てさせることを要しない(二七五条の二第二項)。
更に、取締役と会社間の訴えの代表には、監査役が当たる(二七五条の四)。監査役が数人いる場合は、協議によって会社を代表する者を一人定めれば、それでもよい。昭和五六年商法改正以前は取締役会の定める者が会社を代表するのを原則としていたが(昭五六改正前二六一条の二第一項)、訴訟の公正さ等、常に会社の利益が図られるとは限らないので、監査役が会社を代表することになった。したがって株主総会の選任による会社代表の制度(同条第二項)は、認められなくなった。
なお、監査役の職務権限は資本の額により特例が設けられている。資本の額が一億円以下で負債総額二〇〇億円未満の株式会社(小会社)の場合には、監査役監査は会計監査だけに限られ、多くの商法の適用除外が規定されている(特例法二二条・二三条・二五条)。また資本の額が五億円以上または負債総額が二〇〇億円以上の株式会社(大会社)においては監査役会が置かれるとともに(同法一八条の二)、会計監査人による会計監査をも必要とすることになった(同法二条)。

◆会計監査人〔株式会社〕🔗⭐🔉振
◆会計監査人〔株式会社〕
かいけいかんさにん
→図 【株式会社の機関】
株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律によれば、資本の額が五億円以上または負債総額が二〇〇億円以上の株式会社においては、監査役のほかに、会計監査の専門家たる公認会計士または監査法人を会計監査人に選任し、これによって決算監査をさせなければならない(特例法二条)。
会計監査人は商法二八一条一項の書類(同項三号に掲げる書類およびその附属明細書については会計に関する部分に限る)を監査することをその職務とする(特例法二条)。会計監査人の選任は株主総会の決議によってなす(同三条一項)が、被選任資格は公認会計士または監査法人に限り、一定の事由のある者は欠格者となる(同四条)。取締役は、会計監査人の選任議案を株主総会に提出するには、監査役会(別項参照)の同意を得なければならない(同三条二項)。会計監査人は会社から監査なる事務の委託を受けているので、準委任(民法六五六条)の関係にある。
会計監査人は、決算監査を行うが(特例法二条)、それに備えるために、いつでも会社の会計帳簿・書類を閲覧・謄写し、または取締役および支配人その他の使用人に会計に関する報告を求め得るのみならず、職務執行に必要があれば、会社の業務・財産の状況を調査できる。更に子会社に対しても、会計に関する報告を求め、疑問があればその業務・財産の状況を調査することができる(同七条)。
このような権限は、会計に関するものに限られるが、その職務遂行の際、取締役の違法行為等を発見した場合には、それを監査役に報告しなければならない。また会計監査人の監査意見が監査役のそれと異なる場合には、定時総会に出席して意見を述べることができる(同一七条一項)。

→◆大会社の特例〔商法関連法〕🔗⭐🔉振
◆大会社の特例〔商法関連法〕
だいがいしゃのとくれい
平成五年の法改正により、大会社の監査役制度は、監査役の任期の伸長(商法二七三条一項)のほかに、監査機能を強化(業務執行および会計処理の適正確保)するために、大会社の監査役を三人以上に増員するとともに、社外監査役制度を導入し(商法特例法一八条一項)、監査役会制度(商法特例法一八条の二)が新設された。大会社の業務が、特に広範かつ複雑になっていることに対応しようとするものである。大会社の監査役のうち、一人以上は、その就任の前五年間会社または子会社の取締役または支配人その他の使用人でなかった者(社外監査役)であることを必要とする。親会社の取締役または使用人は、子会社の取締役から影響力を行使されるおそれがないと考えられるので、子会社の社外監査役としての資格があるが、子会社の取締役または使用人は、その地位を去ってから五年経過しないと、社外監査役としての要件を具備しない。社外監査役を選任しないと、取締役は一〇〇万円以下の過料に処せられる(商法特例法三〇条一一号)。
大会社にあっては、監査役の全員で監査役会を組織する(商法特例法一八条の二第一項)。したがって、監査役会という機関が置かれるのは、大会社に限られる。大会社以外の株式会社の場合、監査役は、独任制の機関として、各自が単独ですべての監査権限を行使する(小会社の監査役は、業務監査権限を有しない―商法特例法二五条)。大会社の監査役会は、この法律(商法特例法)に定める権限を有するほか、その決議をもって、監査役の権限の行使を妨げない範囲内で、監査の方針、会社の業務および財産の状況の調査の方法その他の監査役の職務の執行に関する事項を定めることができる(商法特例法一八条の二第二項)。大会社の監査報告書は、監査役会が作成する(商法特例法一四条二項)。この監査報告書には、各監査役の意見を付記することができる(商法特例法一四条三項)。例えば、付記された監査役の意見が、会計監査人の監査の結果を相当でないという場合には、計算書類についての定時総会の承認を省略するという効果は生じない(商法特例法一六条一項)。もとより、監査役会による監査報告書の作成に当たっては、監査役会において、協議され、多数決により監査役会の監査意見が形成される。この場合、監査役全員の意見が一致すれば、各監査役の意見を付記する必要はない。監査役会は、各監査役が招集することができる(商法特例法一八条の三第二項、商法二五九条一項本文)。監査役会の招集は、一週間前に各監査役に通知しなければならないが、定款でこれより短い期間を定めることができるし、監査役の全員の同意があれば、招集手続を省略して、監査役会を開催することができる(商法特例法一八条の三第二項、商法二五九条の二・二五九条の三)。監査役の決議方法は、原則として監査役の過半数をもって決せられる(商法特例法一八条の三第一項本文)が、会計監査人の解任の決議(商法特例法六条の二第一項)に限り、監査役の全員一致をもって決せられる(商法特例法一八条の三第一項但書)。監査役会の議事については、議事録を作成しなければならない。議事録には、議事の経過の要領およびその結果を記載し、出席した監査役は署名しなければならない。取締役は、監査役会の議事録を一〇年間本店に備え置かなければならないし、株主は、裁判所の許可を得て、議事録の閲覧・謄写を請求することができる(商法特例法一八条の三第二項、商法二六〇条の四)。
大会社においては、監査役の監査のほかに、公認会計士または監査法人である会計監査人による決算(会計)監査を受けなければならない(商法特例法二条)。会計監査人は、株主総会において選任され、設立の際には発起人または創立総会によって選任される。取締役会が会計監査人の選任の議案を株主総会に提出するには、監査役会の同意を要し、また、監査役会はその過半数の同意をもって、会計監査人の選任を議題とすることなどを、取締役に請求することができる(同三条)。
会計監査人は、会計書類およびその附属明細書(商法二八一条一項)の監査を職務とする(商法特例法二条)が、いつでも、会社の会計の帳簿および書類の閲覧もしくは謄写をし、または取締役および支配人その他の使用人に対して会計に関する報告を求め、その職務を行うため必要があるときは、会社の業務および財産の状況を調査することができる。更に、会計監査人は、その職務を行うため必要があるときは、子会社に対して会計に関する報告を求め、また、その業務および財産の状況を調査することができる(商法特例法七条・三〇条一項三号〜四号・同条二項、商法二七四条の三第二項・同条三項)。
会計監査人が、その任務を怠ったことにより、会社に損害を生じさせたときは、その会計監査人は、会社に対し連帯して損害賠償の責めに任ずる(商法特例法九条)。会計監査人が、重要な事項について、監査報告書(同一三条一項)に虚偽の記載をしたことにより、第三者に損害を生じさせたときには、その会計監査人は、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明しない限り、その第三者に対し連帯して損害賠償の責めに任ずる(同一〇条)。これらの場合において、取締役または監査役も責任を負うときは、会計監査人、取締役および監査役は連帯債務者となる(同一一条)。
大会社の場合、各会計監査人の監査報告書に、貸借対照表、損益計算書が法令・定款に従い、会社の財産および損益の状況を正しく表示している旨の記載があり、かつ、監査役会の監査報告書に会計監査人の監査の結果を相当でないと認めた旨の記載がないときは、取締役会の承認によって確定したものとされる。この場合には、取締役は、定時総会に貸借対照表、損益計算書の内容を報告すれば足りる(商法特例法一六条一項)。
→◆行政権〔行政法総論〕🔗⭐🔉振
◆行政権〔行政法総論〕
ぎょうせいけん
通常は、一般行政を行う国家の権能を指すが(憲法六五条)、広く行政というときには地方公共団体の行う自治行政権も含めて解される。しかし「行政」の概念については学説が一定していない。
憲法は行政権の主体が内閣であることを規定しているが(同六五条)、天皇が内閣総理大臣の任命、その他の国事行為により、広い意味の行政作用を行い(同六条・七条)、会計検査院が、内閣とは独立に決算を検査し(同九〇条)、また国会が内閣総理大臣を指名し(同六条一項・六七条)、予算その他財政に関する議決をなす(同八三条)などの権限を与えられ、また法律により、公務員の任命を国会もしくはその一院の選挙、議決または同意にかからせている例が多く(国公法五条、独禁法二九条)、更に国の機関としての都道府県知事、市町村長の事務(機関委任事務)に対する監督作用に、裁判所を関与せしめた職務執行命令訴訟などのような例外が多く認められている。
このような例外的な場合でなくても、内閣のみが行政権を行使するわけではない。内閣は行政権の中枢機関ではあるが、内閣の下に、国家のために、その意思を決定、表示する行政各部の機関が設けられ、内閣は、自ら一般行政事務を行うとともに、行政各部を指揮監督し、行政各部の全体を統轄する(内閣法六条)。したがって、内閣は行政権の最高機関ではあるが唯一の機関ではない。
しかし、現在の議院内閣制の下では、内閣は国会の意思を反映し、ひいては国民がコントロールできる機構になっているわけであるから、内閣とまったく独立した機関に行政権の行使を認めることは、憲法上直接に例外的存在として認められている会計検査院を除き、許されないというべきである。したがって、政党政治になじまず、公正・中立を要請される行政部門とか、また、まったく科学的・技術的・専門的行政部門(現行法上の人事院の他、公正取引委員会、中央労働委員会などの国家行政組織法別表第一に掲げる行政委員会)は、むしろ内閣からの独立性が要請されるが、このような機関の人事権、予算に関する権限が内閣に留保されていることが憲法上要請されるものと解される。
なお、内閣は、行政権の行使について、国会に対して責任を負わねばならない(憲法六六条三項)。これは民主的責任行政の原則を保障するものであるが、国会および裁判所は、いずれも、独立してその権限を行使し得るのに反し、行政権の主体としての内閣は全面的に国会のコントロールに服し、完全に独立していないことを意味する。
→◆経費の繰越使用の制限〔財政法〕🔗⭐🔉振
◆経費の繰越使用の制限〔財政法〕
けいひのくりこししようのせいげん
繰越明許費の金額を除いては、毎会計年度の歳出予算の経費の金額は、これを翌年度において使用することができないこととされている(四二条)。これは、予算の乱用や流用を防ぐ目的で年度計算を厳格にしようとするものであって、会計年度独立の原則を採用しているわが国の予算制度上当然のことである。
しかし、この原則を極端に厳格に適用すると、予算をすべて使い切ってしまおうとする乱費の弊害が出てくる。そこで、やむを得ず、例外を認めて、歳出予算の経費の金額のうち、年度内に支出負担行為をなしても、避け難い事故のため、年度内に支出を終わらなかったものは、大蔵大臣の承認を経て、これを翌年度に繰り越して(事故繰越し)、使用することができることとしている。
なお、継続費は、支出の総額について国会の議決を経ているものであるので、この原則を適用する必要がないから、継続費の年割額については、継費費の対象となっている事業の完成年度まで、逓次繰り越して使用し得るものとしている(四三条の二)。
◆会計法〔財政法〕🔗⭐🔉振
◆会計法〔財政法〕
かいけいほう
国の会計は、金銭、国有財産、物品、債権のそれぞれに分けて、別の法体系の下で処理されている。
会計法は、このうち、主として国の金銭会計を処理するための基本的原則を定めている法律である。出納事務の完結期限・会計年度所属の区分、収入、支出負担行為、支出などのいわゆる会計規則のほか、契約、国庫金、有価証券の取扱い、時効に関する定め、出納官吏の権限などがその主な内容である。
自由国民社法律用語辞典に「会計」で始まるの検索結果 1-9。