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◆石井記者事件〔事件判例 基本的人権〕🔗🔉

◆石井記者事件〔事件判例 基本的人権〕 ―証言義務と職業倫理 〈事件の概要〉 昭和二四年四月二六日付朝日新聞長野版朝刊に前夜執行された汚職事件に関する逮捕状の内容が掲載されたために、事前に裁判所あるいは検察庁の職員が「職務上の秘密」を漏らしたのではないかという疑いが生じ、その捜査のために朝日新聞記者石井清氏が証人として召喚され、取材源についての尋問がなされたが、同記者は“取材源の秘匿は新聞記者の職業倫理である”と主張して証言を拒み、刑事訴訟法一六一条違反として起訴された。 〈解説〉 最高裁判所は「新聞記者に証言拒否権を認めるか否かは立法政策上の問題ではあるが、現行法はそれを認めていない。刑事訴訟法一四九条は、医師・弁護士など証言拒否を認められた者を列挙しているが、それは限定的に解すべきで、類推拡大を許さない規定であるから、実定法上の根拠を見いだすことはできない。しかも憲法二一条も新聞記者に一般国民と異なる特権を与えたものではない。いまだいいたいことの内容も定まらず、これからその内容を創り出すための取材が、司法権の公正な発動に欠くべからざる証言義務に優越するわけではない」と、石井記者の主張を完全に否定したのである(最判昭和二七・八・六)。  確かに、人々は自己の名が隠されるという安心感を記者から与えられて、初めて情報提供の心境に至るのであろう。だとすれば、新聞記者にとって取材源の秘匿は職業上の倫理に間違いない。しかし、このことから直ちに秘匿権を憲法上の権利としてしまうことには問題がある。どのような記者に限って特権を与えるのか、現実には特定するのがとても難しい。へたをすれば、報道機関に特権を与えようとしたことが、ミニコミを締め出すことにもなりかねないのである。

自由国民社法律用語辞典 ページ 3544 での◆石井記者事件単語。