完全性🔗⭐🔉振
完全性
(かんぜんせい)
completeness 英語
Vollst?ndigkeit ドイツ語
complet フランス語
論理学で、公理語が要求される性質を備えていることをいう。命題論理については、その公理から証明されることがすべてトートロジー(同語反復)であり、逆にトートロジーはすべて公理から証明されることであるが、この完全性が成り立つことが、たやすく証明される。述語論理については、その定理が、述語のどの解釈に関しても正しくなること、逆にまた、述語のどの解釈に関しても正しくなる命題がすべて定理となること、であるが、この完全性も成り立っていることを、1930年数学者ゲーデルが証明した。これはモデル理論の基本定理である。集合論においては、矛盾がなく、集合論の概念だけが使われた命題については、すべてその肯定形か否定形かのいずれかが定理となることであるが、この完全性は成り立ちえないことを、31年同じくゲーデルが証明した。これは、多くの論理学者の期待を裏切る結果で、当時多大のセンセーションを引き起こした。→公理 →命題論理学 →集合論 →ゲーデル <吉田夏彦>
全集🔗⭐🔉振
全集
(ぜんしゅう)
complete works 英語
?uvres compl?tes フランス語
Gesamtausgabe / Gesammeltewerke ドイツ語
1人の作家または著述家がその生涯に書き遺{のこ}したすべての著述を収録したものをいう。したがって、その編集は後継者または故人と関係の深い者があたり、できる限りの手段を尽くして、手紙、日記、ノート、書目、その他の些細{ささい}な記録までも集める。その編集に、著作権法(1970)では、著者の死後に全集または選集を編集するときには、その著書が出版後3年を経過したものを、その出版権にかかわらず、その全集または選集に収載することができる(80条2項)としている。全集は個人のあらゆる著述を収めるので、主要作品を選んで集録する選集とは区別される。全集はその人の学術または文芸を根本から研究するための唯一のよりどころであるから、その価値はきわめて高い。
中国で824年に編集された白居易{はくきょい}の詩文全集『白氏文集』75巻は、平安時代にわが国にもたらされ、「集」といえば通じたくらい利用されたが、中国では唐の末期から詩文集が始まり、日本では平安末に個人の歌集がつくられた。江戸時代には林羅山{はやしらざん}以来林家{りんけ}では文集を歴代編し、漢学者の文集も盛んに行われた。個人の全集では、夏目漱石{そうせき}の死後、門弟小宮豊隆{とよたか}が中心となって、1918年(大正7)以来8回、初めは全13巻、のちには全34巻まで新出原稿や書簡などで増補して完全な全集を目ざしていた。世界的にもっとも完全な全集を目ざしているのはゲーテの全集で、重要なものはワイマールWeimar版143巻(1887〜1919)、コッタCotta版40巻(1902〜12)、アルテミスArtemis版24巻(1949〜54)、またアカデミーAkademie版(1952〜 )は刊行中である。 <彌吉光長>
全数調査🔗⭐🔉振
全数調査
(ぜんすうちょうさ)
complete survey
統計調査にあたり、対象とする集団に含まれる個々の単位を一つ残らず調べる調査方法。対象集団に属するもののうち、一部の単位だけを取り出して調べる標本調査に対応する統計調査の方法であり、全部調査、悉皆{しつかい}調査ともよばれる。この調査方法によると、まず対象集団そのものの規模を知ることができ、さらに調査単位のもつ属性について多角的な情報を得ることができるとともに、集団自体の構造特性をも明らかにしうる利点がある。その反面、調査費用が多額に上ること、調査結果の集計・編集が容易でなく公表までに時間がかかること、などの欠点がある。したがって、この調査方法は、比較的限定された対象集団に対してか、あるいは逆に、国民全体などの大規模集団について、その規模と基本構造を5年、10年という比較的長期の時間間隔をもって調査するのに用いられる。後者の例が、国勢調査に代表されるセンサスである。→センサス →国勢調査 →標本調査 <高島 忠>
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