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集合行動🔗🔉

集合行動 (しゅうごうこうどう) collective behavior 広義には未組織の群集行動と組織された社会運動をともに含む概念。したがって、災害時のパニック、ええじゃないか踊りのような踊狂{ようきよう}dancing mania、宗教の集団的法悦、大流行やブーム、世論形成やデマの流れ、人種暴動や一揆{いっき}のような敵意を噴出する行動、各種の改良運動、社会の各分野の組織運動、革命など、未組織的および組織的な運動現象を広く意味する社会学的概念である。狭義には未組織のものだけをさす場合がある。この概念は1920年代のアメリカ社会学によって提唱され、今日に至った。当初の考え方によれば、集合行動はいくつかの段階を通って発達していくものである。すなわち、〔1〕従来の制度がうまく働かない社会的不安定の段階、〔2〕不安定状態に対して未組織の探索行動や群集行動が生じてくる段階、〔3〕未組織の集合行動が組織化されていく段階、〔4〕組織された集合行動が新しい制度となって定着する段階、がそれである。このような段階を通って、社会は古い秩序から新しい秩序へと変化していくとみられ、集合行動は新しい秩序の形成を推進するものと考えられた。そして人々が集合行動のなかで一斉に同じ行動をするのは、同一の行動傾性が解発releaseされる結果であるとか、あるいは気分や情緒が社会的に感染する結果であると説明された。  しかし、今日では、この種の考え方は批判され修正されるに至った。第一に、集合行動の発達段階は必然的な成り行きではない。たとえば、公衆がその集合行動をどのように評価しレッテルを貼{は}るか、というような外からの反応によって、集合行動の性格やコースが規定されるという側面が注目されている。第二に、人々が一斉に同じ行動をするのは、人々の相互作用のなかから新しい社会規範が創発してきて、それに人々が従って行動するからである、という創発規範説が提唱されている。 <塩原 勉> 【本】N・J・スメルサー著、会田彰・木原孝訳『集合行動の理論』(1973・誠信書房)

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