摺鉦🔗⭐🔉振
摺鉦
(すりがね)
日本の平{たいら}ゴング系体鳴楽器。別名、当り鉦、ちゃんぎり。直径15〜30センチの金属製の皿型の縁に穴をあけて紐{ひも}を通したもの。手でぶら下げて容器の内側を打ち鳴らす場合を当り鉦、直接手に持ち内側を摺るように奏する場合を摺鉦という。念仏踊、祭礼囃子{ばやし}などで使われる。歌舞伎{かぶき}ではにぎやかな町の雰囲気の表現、所作事{しょさごと}に利用される。 <山口 修>
摺沢🔗⭐🔉振
摺沢
(すりさわ)
岩手県南部、東磐井{ひがしいわい}郡大東{だいとう}町の中心地区。旧摺沢町。今泉街道の宿駅で、1925年(大正14)国鉄(現JR)大船渡{おおふなと}線の開通によって急速に発展した。→大東(町)
摺箔🔗⭐🔉振
摺箔
(すりはく)
裂地{きれじ}へ金銀箔を接着させて模様を表すこと。金銀粉を接着剤に混ぜて筆書きする金泥絵や、金銀箔を細く切ったものを貼{は}り付ける切金{きりかね}などに対して摺箔という。その技法は、紙に文様を切り透かした型紙を用い、これに接着用の媒剤(通常姫糊{ひめのり})を施し、これの乾かぬうちに箔をのせて柔らかい綿などで軽く押さえ、そのまま乾燥させたのち、刷毛{はけ}で余分の箔を払い落とす。ただ一般に摺箔は、これだけ単独に用いることは少なく、刺しゅう、友禅染めなどと併用して部分的に使われることが多い。縫箔などという名称のあるのはそのためである。
箔だけで模様を置いたものに能装束の摺箔がある。これは能の女役が着付に用いる装束で、このために能では摺箔ということばがこの装束の名称になっている。とくに『道成寺{どうじょうじ}』や『葵上{あおいのうえ}』などに用いられる三角つなぎを摺った鱗{うろこ}箔は、女の執念が蛇体{じやたい}の鬼と化した姿を象徴する装束として知られる。 <山辺知行>
スリバチサンゴ🔗⭐🔉振
スリバチサンゴ
(すりばちさんご)
【漢】摺鉢珊瑚
腔腸{こうちょう}動物門花虫綱六放サンゴ亜綱イシサンゴ目キサンゴ科のタービナリア属Turbinariaの総称、またはそのなかの1種。本州中部地方以南に分布し、群体は平板状の堅牢{けんろう}巨大な骨格をつくりあげる。キサンゴ類のように第一次外隔壁が内隔壁より著しく発達することがなく、群体は平板状となりサンゴ体は厚い。また、莢{きよう}はほぼ上部までこれに埋まることによってキサンゴ科のほかの属から区別される。生時、共肉および触手は褐色か緑褐色を帯びる。
スリバチサンゴT. undataは大杯{さかずき}状で、莢の径は約2ミリで小さい。近縁種オオスリバチサンゴT. peltataは被覆状の骨格から太い柱状突起が出て、莢の径は5〜10ミリで大きい。ともに相模{さがみ}湾以南の水深5〜20メートルに普通にみられる。 <内田紘臣>
摺仏🔗⭐🔉振
摺仏
(すりぼとけ)
仏教版画の一種で、仏{ぶつ}、菩薩{ぼさつ}、明王{みようおう}、諸天などの像を板に彫り、墨や朱をつけ、紙や絹に摺り写したもの。「しゅうぶつ」とも読み、印仏という場合もある。古くインドで行われており、泥像を紙や布に印したものらしい。摺仏は中国でも唐代から流行し、敦煌{とんこう}や西域{せいいき}に遺品がみられる。日本では平安時代から行われ、単純な木版技法により、彩色もないのが普通である。一体だけを描いたり、数体を彫った群像もあるが、あまり大型の本格的な版は摺仏とはいわない。仏像の胎内などに納め、多くの結縁{けちえん}者や祈願を示すため、まとめて納入することが多い。摺仏は版の上に紙を当てて摺り、印仏はスタンプ式に押すものともいうが、どちらともいえないものもあり、古く平安時代などには区別がなかったようなので、印仏も摺仏の一部といえよう。 <佐藤昭夫>
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