ムル石
(むるせき)
高温・低圧条件下で安定な鉱物。針状ないし細柱状の結晶で珪線{けいせん}石と鉱物学的性質がよく似ているため、昔は区別がされていなかった。カナダのボーエンN. L. Bowenがムル石相当の物質を合成して珪線石と別のものであることを発見した。その後スコットランドのムル島から玄武岩に捕獲され高温の変成作用を受けた泥質岩片中から天然での産出が確認された。原産地以外でも、玄武岩、ドレライト、斑糲{はんれい}岩中の捕獲岩片中、高温の接触変成作用を受けたアルミニウムに富む岩石中に産出例がある。わが国にはまだ産出は確認されていない。なお、耐火れんが、磁器、スラグslag(鉱滓{こうさい})などの中にはごく普通にムル石相当の物質が存在している。 <松原 聰>
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