タックス・ヘイブン🔗🔉

タックス・ヘイブン (たっくすへいぶん) tax haven 海外企業誘致のため、企業に対して税制上の優遇措置を与える国(または地域)をいう。租税回避地、租税避難地ともよばれる。一般的にタックス・ヘイブンは、次の四つのタイプに分類される。〔1〕無税の場合。所得税が課されないほか、租税条約を締結していない。会社の設立が容易である。これを「タックス・パラダイス」とよぶ。バハマ、バーミューダ、ケイマン諸島など。〔2〕軽課税の場合。税率が低く、しかも比較的多くの国と租税条約を締結している。配当に対して源泉課税をしない。「軽課税国」という。オランダ領アンティル諸島、バージン諸島、ジャージー島など。〔3〕国外所得に課税しない場合。「タックス・シェルター」という。リベリア、パナマ、コスタリカなど。〔4〕特定のタイプの会社または事業活動に特別な税制上の優遇措置をとっている場合。「タックス・リゾート」という。オランダ、スイス、ルクセンブルク、リヒテンシュタインなど。  要は国によって税の種類および税率に差がある限り、また特定の事業活動を助成するために税制上の優遇措置がある限り、程度の差こそあれ、タックス・ヘイブンが生じる。また、税制上の優遇措置のほかにも、金融取引に関する秘密保持、企業設立の容易さ、緩やかな外国為替管理による所得・資産の実態把握のしにくさなどの点が、多くの多国籍企業のタックス・ヘイブンへの参入を活発にしている。  タックス・ヘイブンの利用は、多国籍企業を中心に、製造・販売会社で盛んである。多国籍企業などは、タックス・ヘイブンに免税会社または持株会社などの子会社を設立し、この企業を経由して事業活動を行い、それによって生ずる利益はその企業に積み立てて再投資することにより、本国の高い租税負担を回避し、租税支払額をなるべく低額にとどめるようにするのである。そのほか、海運会社が船籍をリベリア、パナマ、ギリシアなどに移すという形での利用も盛んであり、また、金融・保険会社などの利用も行われている。  また、マフィアや麻薬シンジケートによるマネー・ロンダリング(麻薬取引などによって得た不正資金を口座から口座へと移し、資金の出所や受益者をわからなくすること)やロシア・東欧からの武器取引の絡んだ資金も流入してきている。このような状況に対して、各国政府とも税収を確保するために、特定外国子会社の所得を親会社の所得と合算して課税する制度を導入するなど、各種の方策を講じて、タックス・ヘイブン利用の規制に努めている。→マネー・ロンダリング <相原 光>

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