大いなる幻影🔗⭐🔉振
大いなる幻影
(おおいなるげんえい)
La Grande Illusion
フランス映画。1937年作品。監督ジャン・ルノアール。第一次世界大戦中の実話をもとに脚本家シャルル・スパークの協力を得て、人間の友愛と平等を訴えた作品。フランス軍の大尉(ピエール・フレネー)と中尉(ジャン・ギャバン)が偵察飛行中に撃墜され、ドイツ軍の捕虜となる。捕虜収容所の所長(エリッヒ・フォン・シュトロハイム)は自分と同じ貴族階級出身の大尉に親近感を抱くが、機械工上がりの中尉は捕虜仲間のユダヤ人銀行家の息子と脱走を企て、大尉の犠牲によりついにそれに成功する。ルノアールは正確でリアルな描写を通じて(フランス語、ドイツ語、英語の併用もその一つ)、国籍、言語、階級、人種などの違いを超えた大きなヒューマニズムを説いた。フランス、アメリカでは公開当時から大成功を収めたが、ファシズム下のドイツ、イタリアでは上映が禁止され、日本でも第二次世界大戦前は公開されなかった。1949年(昭和24)日本公開。 <武田 潔>
大いなる眠り🔗⭐🔉振
大いなる眠り
(おおいなるねむり)
The Big Sleep
アメリカのハードボイルド推理のチャンピオンといわれるR・チャンドラーの小説。1939年作。作者の出世処女作品。娘が脅迫にあっている、始末をつけてほしいと、私立探偵マーローは、名士スタンウッド将軍から依頼を受ける。彼は脅迫者の家を突き止めてそこに行くと、待ち構えていたものは殺人だった。捜査を進めていくうちに、マーローはその裏に上流階級の複雑で、悲劇的な人間関係があるのを知った。推理小説的構成よりも洗練された都会感覚の文体と、しゃれた会話のなかで、人間模様を浮き上がらせている。 <梶 龍雄>
【本】双葉十三郎訳『大いなる眠り』(創元推理文庫)
日本大百科 ページ 8289。