二上り新内🔗⭐🔉振
二上り新内
(にあがりしんない)
江戸末期の流行歌。新内のように哀調を帯びた旋律を、二上りの調子で演奏するという意。原則として七五調四句からなる小曲で、歌詞は無数。今日でも「悪どめせずとそこ放せ」や「隅田のほとり」がよく歌われる。「靱猿{うつぼざる}」のように、常磐津{ときわず}の一節を歌い込む場合もある。1800年代初頭(文化・文政ごろ)から歌い出されたというが、現存の歌本からみると、ペリー来航(1853)直後が最盛期のようである。 <倉田喜弘>
ニアス島🔗⭐🔉振
ニアス島
(にあすとう)
Pulau Nias
インドネシア西部、スマトラ島西岸北部の沖合いに位置する島。北西―南東方向に細長く、面積は4772平方キロ。全島丘陵性の地形をなし、地質的には新生代第三紀の地層からなる。また、密林に覆われており、海岸にはサンゴ礁が発達している。住民はニアス人で独自のことばをもち、大部分が原始宗教を信仰するほかキリスト教徒もいる。杭上{こうじよう}家屋に居住し、コプラ、バナナ、トウモロコシなどを栽培したり、ブタや野生のスイギュウを飼育してスマトラ島本土のシボルガ、パダンなどの都市へ出荷する。集落は大部分が沿岸部に立地し、東岸のグヌンシトリが中心集落である。民族学上きわめて興味深い巨石文化の遺跡が随所にみられ、また「石飛び」「戦いの踊り」などの伝統芸能が今日でも温存されている。これらのものを観光資源にして、近年島の観光開発が進められている。行政上はスマトラ・ウタラ州に属する。 <上野福男>
日本大百科 ページ 47828。