題目🔗⭐🔉振
題目
(だいもく)
仏教で、経の題号をいう。日蓮{にちれん}は「南無妙法蓮華経{なむみょうほうれんげきょう}」の7字を口唱すること(唱題)が末代鈍根の者にふさわしい『法華経{ほけきょう}』の修行であると説き、日蓮系ではその7字または「妙法蓮華経」の5字を題目と称する。それ以前の天台宗は『摩訶止観{まかしかん}』10巻に説いてある十境十乗{じっきょうじゅうじょう}の観法{かんぽう}、四種三昧{ししゅざんまい}を『法華経』修行として勧めていたが、これは法然{ほうねん}(源空)によれば難行道であった。また比叡山{ひえいざん}では朝講法華・夕念仏を勧めてはいた(源信)が、唱題に理論的根拠を与え、いっさいの『法華経』修行を唱題の一行にまとめた人は日蓮である。「妙法蓮華経」の5字は単に『法華経』の名ではなく、『法華経』の真理そのもの(一念三千{いちねんさんぜん})であり、また教主釈尊{しゃくそん}(釈迦{しゃか})が積み重ねてきた功徳{くどく}(因行果徳)を包む法であるから、これに帰依{きえ}(南無)すれば現世には安心{あんじん}を得て、死後は霊山{りょうぜん}浄土に生まれることができるという。しかし口唱だけでは不完全で、身にも読まねばならぬことを強調し、これを色読{しきどく}という。なお、日蓮が1266年(文永3)に著した『法華題目抄』は『法華経』の題目について詳述されたものである。
また、題目に本尊、戒壇をあわせて三大秘法と称する。→南無妙法蓮華経 <浅井円道>
日本大百科 ページ 38562。