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胎便🔗🔉

胎便 (たいべん) 新生児が出生後1、2日の間に初めて排泄{はいせつ}する暗緑色の便をいう。3日目以後には黄色の移行便とよばれるものに変わっていく。胎便の排泄が24時間以上遅れると、腸の疾患が疑われる。また、胎便はビリルビンを多く含むため、その排泄の遅延が黄疸{おうだん}の原因の一つともなっている。分娩{ぶんべん}時に羊水が胎便で混濁した場合は、児が苦しくて便を子宮体内で排泄したことを意味し、児の悪い状態を示すものである。 <仁志田博司>  なお、胎便のことを「かにばば」とか蟹屎{かにくそ}とよぶのは、蟹守{かにもり}の故事による。『古語拾遺{こごしゆうい}』によれば、豊玉姫{とよたまひめ}が海浜の産屋{うぶや}で皇子を出産したとき、供の天忍人{あめのおしひと}が箒{ほうき}をつくって蟹を掃いたことから掃除などをつかさどるようになり、蟹守とか掃守{かにもり}の姓ができ、のちに掃部{かもん}となったという。この故事から、出産や産児に蟹を付してよぶ語がつくられた。 <新井正夫>

日本大百科 ページ 38510