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タイサンボク🔗🔉

タイサンボク (たいさんぼく) 【漢】大盞木・泰山木・大山木 【学】Magnolia grandiflora L. モクレン科の常緑高木。大きいものは高さ20メートル以上になる。樹皮は暗褐色で小枝は太く、大きな葉を密につける。葉は互生し、長楕円{だえん}形または長倒卵形で長さ10〜20センチ、縁{へり}に鋸歯{きよし}はなく革質で厚い。葉表は濃緑色で光沢があり、葉裏は鉄さび色の軟毛を密生する。5〜6月、枝先にホオノキの花に似た、洋杯形で大きな白色花を開く。花径10〜15センチ、芳香がある。花弁は六枚、ときに9〜12枚、広倒卵形でやや厚くて大きい。萼片{がくへん}は花弁状で三枚。本種は被子植物のなかでは原始的といわれるもので、花の中心の花軸上に多数の雌しべがつき、雄しべも多数あり、円錐{えんすい}状になる。各雌しべは小さな袋果となり、それらが集まって楕円形の集果となる。集果には短毛があり、11月ころ熟すと袋果の一方が裂け、白糸につながった赤い種子を垂れ下げる。北アメリカ南部原産で、日本には明治初年に渡来した。変種ホソバタイサンボクvar. lanceolata Ait.は葉裏に褐色の毛が少ないもので、日本にも植えられている。近縁のヒメタイサンボクM. glauca L.は北アメリカ南部原産の小高木で、葉は薄くて裏面は白色を帯び、やや多湿地を好む。本種は広い庭園、公園などに植栽される。普通の適潤地でよく育つが、移植にはやや弱く、剪定{せんてい}にも弱い。繁殖は接木{つぎき}、実生{みしよう}による。 <小林義雄>

第三身分🔗🔉

第三身分 (だいさんみぶん) Tiers ?tat フランス語 僧侶{そうりよ}と貴族身分に属さない平民身分をさす。前二者は種々の身分的特権と栄誉を享受するが、第三身分は固有の身分特権をもたない。中世キリスト教世界では、祈るものoratores=僧侶、戦うものbellatores=貴族、働くものlaboratores=平民の身分的区分があった。働くものである第三身分は、裁判および財務官僚や、都市市政官から各種商人・職人に至る、いくつもの社会的・職域的階層、団体を含んでいる。政治的には、第三身分代議員が全国的ないし地方的な身分制議会に参席した。  フランスでは、14世紀の全国三部会における第三身分は、特権都市の市政官や法曹家、大商人であり、1614年の場合、官僚特権をもつ法官が大多数を占めた。彼らは第三身分のうちでも勢力と資産をもつものであった。フランス革命時、1789年の全国三部会では、法曹家と商人、工業資本家など、資産家としてのブルジョアが第三身分を独占、革命推進の主体となり、ついに身分制を解体させた。→アンシャン・レジーム <千葉治男>

日本大百科 ページ 38062