代🔗⭐🔉振
代
(だい)
地質学的な時間(時代)区分単位のうち普通に使われる最大の単位。時間層序(時代―岩相)区分単位の界に相当する。すなわち、界に相当する岩石地層の形成堆積{たいせき}した時間間隔を代とよぶ。カンブリア紀以降の地質時代は、古生代、中生代、および新生代に分けられ、その時代区分は地球上の生命の発展段階と対応している。代は、地質時代区分の階級では紀より大きく、それぞれの代は二つ以上の紀を含み、また累代より小さい。古生代、中生代、新生代は一括して顕生累代とよばれる。それより前は隠生累代といわれ、古い始生代と新しい原生代に二分されたこともあったが、最近では隠生累代に多くの化石が発見され、さらに放射年代の測定の結果、この二分が時間的な区分になっていないことがわかったため、現在これらは一括され先カンブリア時代とよばれている。→先カンブリア時代 →地質時代 <花井哲郎>
大悪党🔗⭐🔉振
大悪党
(だいあくとう)
Historia del gran taca?o
スペインの作家ケベードの長編小説。正式の題名を『放浪児の手本、大悪党の鏡、ドン・パブロスとよばれる騙{かた}りの生涯』というピカレスク(悪漢)小説。出版は1626年だが、1603年ころの起筆と思われる。床屋で泥棒の子に生まれたパブロスが、貴族の子弟の従者、ならず者、役者、乞食{こじき}などの生活を経験したすえ、新しい生活を求めてアメリカ渡航を考えるまでの話が、ことば遊びと奇想に満ちた文体で描かれている。ピカレスク小説としてはもっとも完成度の高い作品の一つ。主人公の語る遍歴談は同種の作品に比べて、きわめて冷笑的でペシミスチックである。 <桑名一博>
【本】桑名一博訳『大悪党』(『世界文学全集6 悪漢小説集』所収・1979・集英社)
日本大百科 ページ 37751。