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マグマ🔗🔉

マグマ (まぐま) magma 岩漿{がんしょう}ともいう。地下(地球あるいは惑星の内部など)で形成された高温で溶融状態の岩石質物体。これが冷却固結してできたのが火成岩である。また、これが地上に噴出して形成されたものが火山である。マグマは液状の溶融体のみをさし、結晶を多量に含んだものは別の名称でよぼうという考え方もある。しかし、現実には純粋に液状のものとして地下から上昇してくるとは限らず、また冷却の過程で結晶が増加していくので、結晶を含めて広義で用いることが多い。このほか、「地下で発生した高温の流動性物体」という説明も可能である。デイサイト(石英安山岩)質の場合のように、ほとんど固体に近いような状態で地上に押し上げられてくる場合があるが、これもマグマとよぶことがある。 【組成】 マグマの中にはほとんどあらゆる元素が含まれているが、そのなかでも多いものは酸素、ケイ素、アルミニウム、鉄、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、リン、マンガン、水素などである。火山岩ではマグマが急冷してできたチルドマージンchilled margin(急冷周縁相)がマグマの組成を示すものと考えられている。マグマの中に含まれていた水分、二酸化炭素その他の揮発性成分は大部分空中あるいは周囲に放出される。そこで、岩石の分析値はそのままマグマの化学組成を示すものではない。逃げ去った揮発性成分を推定して元の組成を復原しなければならない。  揮発性成分としては炭素、硫黄{いおう}、フッ素、塩素などが含まれる。地域によっては、炭酸塩を主成分とするマグマ、硫化物を多量に含むマグマなどがある。地上に噴出するマグマの種類はさまざまであるが、地下で最初に発生するマグマの種類は限られていると考えられており、この親マグマのことを本源マグマとよぶ。おもな本源マグマは玄武岩質マグマ、花崗岩{かこうがん}質マグマであるが、このほかにも安山岩質マグマもあり、さらに、玄武岩質マグマにもソレアイト質のもの、アルカリ質のものなど、いくつかの系統があると推定されている。先カンブリア時代には超塩基性マグマも存在したらしい。 【発生および活動】 地下浅所でのマグマの温度はおおよそ650〜1300℃の間である。マグマは地殻下部からマントル上部(地下数十〜数百キロメートル)の深さで発生する。この深さの位置に地震波の速度が周辺より遅くなるところ(低速度層)があって、これがマグマ発生帯であるとされている。地下の温度の上昇とか、圧力の減少などによって部分溶融がおこりマグマが発生し、それが集まると、マグマの密度は周辺の岩石の密度よりわずかに低いので、浮力によって徐々に上方に向かって移動してゆくことになる。周囲の岩石の密度と同じところまでくると、マグマ溜{だま}りをつくる。マグマ溜りには地表近く(火山直下)に位置するものから、かなりの深所に位置するものまで、いくつかの種類のものがあるらしい。マグマ溜りの中で結晶化が進むと、未固結の部分の水などの揮発性成分の圧力が高くなり、ふたたび地上にマグマを押し上げようとする力が働く。マグマ溜り付近に働く広域的圧力(プレートを押す力)はマグマ上昇の引き金となる。マグマがさらに上昇して周辺の圧力が低下すると、揮発性成分が飽和して気相として分離して発泡することになる。マグマが発泡をおこすと体積が増大し、それが急激におこると噴火作用となる。マグマ発生のより巨視的原因としては、マントル内の圧力解放とマントル対流の上昇、マントル沈み込みの際の粘性摩擦熱、ホットスポットhot spotなどの熱源が考えられている。→火山 →火成岩 <矢島敏彦> 【本】久城育夫・荒牧重雄編『岩波講座 地球科学3 地球の物質科学?』(1978・岩波書店) ▽横山泉・荒牧重雄・中村一明編『岩波講座 地球科学7 火山』(1979・岩波書店)

日本大百科 ページ 60452 でのマグマ単語。