複数辞典一括検索+

斑岩銅鉱床🔗🔉

斑岩銅鉱床 (はんがんどうこうしょう) 斑状組織をもつ花崗{かこう}岩質貫入岩体に関係して形成された鉱染状、細脈網状の銅鉱床。鉱床の形はきのこ状、円柱状など多様で、岩株の頂部や周縁部に形成されていることが多い。一般に、銅品位は低いが、一鉱床で埋蔵鉱量が数億トンから10億トンという大きな鉱床があり、大規模採掘に適している。鉱石採掘量が1日当り数万トンから10万トンという大鉱山がある。この型の鉱床は中生代以降のアルプス造山帯に多く、とくに環太平洋造山帯には多数の鉱床が発見されている。北アメリカ大陸西部、南アメリカ大陸のアンデス山脈、フィリピン、パプア・ニューギニア、ソロモン諸島には多くの鉱床があるが、日本列島には経済性のある鉱床はまだ発見されていない。新生代の鉱床はパキスタン、イラン、ルーマニア、ブルガリアなどにも発見されている。一方、北アメリカ大陸東部、オーストラリア、旧ソ連地域、中国には古生代や中生代などやや古い地質時代の鉱床が分布する。鉱石鉱物は黄銅鉱、黄鉄鉱、磁鉄鉱のほか輝水鉛鉱や金を少量伴うことがある。また、銅鉱物をほとんど伴わない斑岩モリブデン鉱床、斑岩錫{すず}鉱床、斑岩タングステン鉱床なども知られている。この型の鉱床は、地殻の浅い所に貫入してきた珪長{けいちよう}質マグマが冷却する過程で、マグマに含まれていた水が放出され、それに含まれた金属分が沈殿して形成されたものである。→鉱床 <武内寿久祢>

日本大百科 ページ 52530 での斑岩銅鉱床単語。