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摺箔🔗🔉

摺箔 (すりはく) 裂地{きれじ}へ金銀箔を接着させて模様を表すこと。金銀粉を接着剤に混ぜて筆書きする金泥絵や、金銀箔を細く切ったものを貼{は}り付ける切金{きりかね}などに対して摺箔という。その技法は、紙に文様を切り透かした型紙を用い、これに接着用の媒剤(通常姫糊{ひめのり})を施し、これの乾かぬうちに箔をのせて柔らかい綿などで軽く押さえ、そのまま乾燥させたのち、刷毛{はけ}で余分の箔を払い落とす。ただ一般に摺箔は、これだけ単独に用いることは少なく、刺しゅう、友禅染めなどと併用して部分的に使われることが多い。縫箔などという名称のあるのはそのためである。  箔だけで模様を置いたものに能装束の摺箔がある。これは能の女役が着付に用いる装束で、このために能では摺箔ということばがこの装束の名称になっている。とくに『道成寺{どうじょうじ}』や『葵上{あおいのうえ}』などに用いられる三角つなぎを摺った鱗{うろこ}箔は、女の執念が蛇体{じやたい}の鬼と化した姿を象徴する装束として知られる。 <山辺知行>

日本大百科 ページ 34715 での摺箔単語。