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クンデラ🔗🔉

クンデラ (くんでら) Milan Kundera (1929― )チェコの小説家、詩人。ブルノの音楽学者の息子で幼時から作曲を学んだが、のちプラハの音楽芸術大学映画科を卒業。同大学で世界文学を講ずる一方、実作にも取り組み、各ジャンルにわたって優れた作品を書いた。1968年のいわゆる「プラハの春」前後には、チェコ作家同盟の書記長として、改革運動に積極的に参加。その結果、70年には本国での作品発表を禁止され、75年にはフランスに移住、大学の教職につきながら創作活動を続けている。したがって70年代以降の作品は国外で発表されているが、原稿はすべてチェコ語で書かれ、作者の立場は一貫してチェコ人である。叙情詩人として出発したが、その作品の多くは、現代の社会体制下での人間性のゆがみや理想と現実の相克を、愛と性を焦点にして辛辣{しんらつ}に描き出している。  詩集『人間、広き庭園』(1953)、『モノローグ』(1957)、評論『小説の技法』(1960)、戯曲『鍵{かぎ}の所有者』(1963)、短編集『おかしな愛』(1963)などのほか、長編『冗談』(1967)は最大の傑作として国外でも大きな賞賛を得た。国内発表禁止後も、外国文学の最優秀作としてメディシス賞を受けた長編『生は彼方に』(1973)、『別れのワルツ』(1976)、『笑いと忘却の書』(1979)、『存在の耐え難い軽さ』(1984)などの話題作を生んでいる。→冗談 <飯島 周> 【本】西永良成訳『生は彼方に』(1978・早川書房)

日本大百科 ページ 19411 でのクンデラ単語。