うし【大人・卿】🔗⭐🔉振
うし【大人・卿】
1 土地を領有し、または事物を主宰する人を尊敬していう語。*書紀‐神代下「大人、此をば于志(ウシ)と云ふ」
2 人を尊敬していう語。
貴人、富者あるいは父親などを尊敬していう語。*読・雨月物語‐蛇性の婬「こは大人(ウシ)の弟子の君にてます」
師匠、学者または先人を尊敬していう語。先生。*歌のしるべ「柿本の大人を歌の聖なりといひ」
3 (転じて、代名詞的に用い)相手を尊敬していう。*書紀‐用明二年四月(図書寮本訓)「今群臣(まちぎみたち)卿(ウシ)を図る」


おお‐にんずう【大人数】(おほ‥)🔗⭐🔉振
おお‐にんずう【大人数】(おほ‥)
(「おおにんず」とも)人数の多いこと。また、多くの人。大勢。
おとな【大人・乙名】🔗⭐🔉振
おとな【大人・乙名】
成人式(男は元服、女は裳着)を終えた男女一般をいう。
1 成人式を終えた者。成人。*源氏‐桐壺「おとなになり給ひてのちは」
2 成長した一人前の男女。特に小児に対比していうことが多い。*枕‐一〇七「産れたるちごのおとなになる程」
(乙名)かしら。おもだった者。
1 一族、集団のおもだった者。年長者。宿老。*平家‐二「資賢卿はふるい人、おとなにておはしき」
2 中世末、郷村の代表者。宮座を中心とする自治組織の指導者で、その数は村によって異なり、数人から十数人に及ぶ。*大乗院寺社雑事記‐延応四年二月二三日「今日郷民(ヲトナ)共召具参申」
3 中世末、座(ざ)の代表者。*大乗院寺社雑事記‐文正二年二月二四日「当門跡方真莚座〈略〉堅可致其沙汰之由、ヲトナ三人致請文了」
4 おもだった女房。物事をとりしきる女房。また、主婦。*枕‐一五八「さやうの事は、所のおとななどになりぬれば」
5 譜代の長老。家老、年寄、宿老など。*義経記‐二「遠侍にはおとな若きもの五十人ばかり」
6 江戸時代、肥前国長崎で町役人。一町に一人おき、長崎奉行に属して町内百般の事をつかさどった。町年寄。
7 召使の長。奴婢の長。作男や下男のかしら。*俳・新花摘「丈羽が家のおとななるもの来りて」


おとな【大人・温和】🔗⭐🔉振
おとな【大人・温和】
〔形動〕おとなしいこと、従順でおだやかなさまをいう幼児語。「おとなにしていなさい」
おとなおとな‐
し【大人大人し】🔗⭐🔉振
おとなおとな‐
し【大人大人し】
〔形シク〕いかにもおとなびている。おとならしく落ち着いている。*宇津保‐国譲下「いとおとなおとなしうきよげなり」

おとな‐くさ・い【大人臭い】🔗⭐🔉振
おとな‐くさ・い【大人臭い】
〔形口〕子供なのに、考え方や態度などが妙におとなのように感じられるさまである。
おとな‐く・れる【大人くれる】🔗⭐🔉振
おとな‐く・れる【大人くれる】
〔自ラ下一〕おとなのような態度や様子をする。ませる。*浄・曾我五人兄弟‐一「ひとめ見たやなつかしやと、おとなくれたる恋心」
おとな‐くろ
し【大人くろし】🔗⭐🔉振
おとな‐くろ
し【大人くろし】
〔形シク〕身なり、様子などがおとなのようである。*浄・最明寺殿百人上
‐女勢揃へ「よめりざかりの花づくし袖の重ねににほはせておとなくろしきかけゑぼし」


おとなげ‐な・い【大人気無い】🔗⭐🔉振
おとなげ‐な・い【大人気無い】
〔形口〕
おとなげな・し〔形ク〕おとならしい思慮、分別がない。つまらないことにむきになって、ばかげている。*平家‐七「わか殿原に争ひて、先をかけんもおとなげなし」
おとなげな‐さ(名)

おとな‐ごころ【大人心】🔗⭐🔉振
おとな‐ごころ【大人心】
おとなのように、落ち着いた心。世間の事に通じた心。
おとな‐し・い【大人しい・温和しい】🔗⭐🔉振
おとな‐し・い【大人しい・温和しい】
〔形口〕
おとな
し〔形シク〕(名詞「おとな(大人)」の形容詞化で、「大人」らしいが原義)
1 一族の長らしい、また、年長者らしい思慮、分別がある。おもだっている。年配である。*蜻蛉‐上「返りごとは、かしこなるおとなしき人して、書かせてあり」
2 成人している。おとなびている。一人前らしい。*源氏‐紅葉賀「今日よりは、おとなしくなり給へりや」
3 (温和)従順、温和である。穏やかである。落ち着いている。*虎清本狂言・猿座頭「そなたが何共いひだされぬが、おとなしいほどに、花見につれていて」
おとなし‐げ(形動)/おとなし‐さ(名)


おとなし‐ずく【大人し尽く】(‥づく)🔗⭐🔉振
おとなし‐ずく【大人し尽く】(‥づく)
〔形動〕もっぱらおとなしい態度をとるさま。*人情・花の志満台‐四「大人し尽では五分でも分らぬ気性も知って居れば」
おとなし‐ぶり【大人し振】🔗⭐🔉振
おとなし‐ぶり【大人し振】
人当たりが柔らかくて、いかにもすなおなように見える様子。
おとなし‐づくり【大人し作】🔗⭐🔉振
おとなし‐づくり【大人し作】
身なりや態度が落ちついていて穏やかな様子。
おとな‐じ・みる【大人染みる】🔗⭐🔉振
おとな‐じ・みる【大人染みる】
〔自マ上一〕おとなのような様子、態度になる。「大人染みた考え」
おとな‐しもづかえ【大人下仕】(‥しもづかへ)🔗⭐🔉振
おとな‐しもづかえ【大人下仕】(‥しもづかへ)
一五歳以上、二〇歳以下で下仕えをしている者。*宇津保‐春日詣「おとなしもづかへ、二十歳のうち」
おとなし‐やか【大人しやか】🔗⭐🔉振
おとなし‐やか【大人しやか】
〔形動〕
1 年長者らしいさま。年長者らしく思慮、分別のあるさま。*平家‐一二「あはれおとなしやかならむものの、聖の行きあはん所まで六代をぐせよ」
2 一人前のおとなのさま。おとなびたさま。*保元‐下「『西方極楽に往生し、父御前と一蓮に生れあひ奉らんと思ふべし』とおとなしやかに宣へば」
3 温順なさま。穏当なさま。落ち着いてしとやかなさま。*滑・浮世風呂‐三「万事長(ヲトナ)しやかだから長ゆもじなどといふ事はないといふ事だ」
おとな‐だ・つ【大人だつ】🔗⭐🔉振
おとな‐だ・つ【大人だつ】
〔自タ四〕おとならしい感じになる。年長で分別がありそうに見える。*枕‐五八「受領(ずりゃう)などおとなだちぬるも、ふくらかなるぞよき」
おとな‐づ・く【大人付く】🔗⭐🔉振
おとな‐づ・く【大人付く】
〔自カ四〕おとなのようになる。おとならしくなる。
おとなっ‐ぽ・い【大人っぽい】🔗⭐🔉振
おとなっ‐ぽ・い【大人っぽい】
〔形口〕(「ぽい」は接尾語)態度などがおとなのようである。
おとな‐なみ【大人並】🔗⭐🔉振
おとな‐なみ【大人並】
(形動)子供におとなと同等な扱いをすること。おとなと同様であること。「大人並みの料金」
おとな‐はずか
し【大人恥ずかし】(‥はづかし)🔗⭐🔉振
おとな‐はずか
し【大人恥ずかし】(‥はづかし)
〔形シク〕おとなも顔負けするほどませている。*俳・毛吹草‐五「とく咲はおとな恥かし児桜」

おとな‐・びる【大人びる】🔗⭐🔉振
おとな‐・びる【大人びる】
〔自バ上一〕
おとな・ぶ〔自バ上二〕
1 からだつき、思慮分別、態度などが、一人前の感じになる。おとならしくなる。ませてくる。*源氏‐乙女「子のおとなぶるに、親のたちかはり痴れゆくことは」
2 かなりの年配になる。年功を積んで、おもおもしい人になる。年がふけている。*宇津保‐国譲中「まさご君の御乳母、おとなびにたれど、かたち宿徳にてあり」
3 女性が、結婚したり、子をもうけたりして、一人前の女になる。*源氏‐東屋「はじめの腹の二三人は、みなさまざまに配りてをとなびさせたり」

おとな‐ぶ・る【大人ぶる】🔗⭐🔉振
おとな‐ぶ・る【大人ぶる】
〔自ラ五(四)〕(「ぶる」は接尾語)いかにも自分はおとなだという態度をとる。「腕を組んで大人ぶった恰好をする」
おとな‐・む【大人む】🔗⭐🔉振
おとな‐・む【大人む】
〔自マ上二〕=おとなびる(大人)*有明の別‐二「かしらつき、いとをかしげなるすそつきなど、すこしをとなみたりと見ゆ」
おとな‐やく【大人役】🔗⭐🔉振
おとな‐やく【大人役】
おとなとしての役目。一人前のおとなに見なされての役。
たい‐じん【大人】🔗⭐🔉振
たい‐じん【大人】
1 体の大きな人。巨人。
2 一人前に成長した人。おとな。だいにん。成人。
3 徳の高い立派な人。度量のある人。盛徳の人。人格者。大人物。大物。
4 身分・地位の高い人。君主や貴人。
5 先生・師匠・学者などを敬っていう語。また、一般に、他人を敬っていう語。
6 大名のこと。
7 自分の父、または母を敬っていう語。
●大人は大耳(おおみみ)
心にゆとりのある人は、小事をいちいち耳にとめないことのたとえ。
●大人は赤子(せきし)の心を失わず
高徳の人は、幼時の純一な心をいつまでも失わず、それをひろめて大きな徳をそなえるようになったという意。また、君主たる者は、幼児をいつくしむように民心を大切にするので、いつも民の支持を失わないの意。
●大人は大耳(おおみみ)🔗⭐🔉振
●大人は大耳(おおみみ)
心にゆとりのある人は、小事をいちいち耳にとめないことのたとえ。
●大人は赤子(せきし)の心を失わず
高徳の人は、幼時の純一な心をいつまでも失わず、それをひろめて大きな徳をそなえるようになったという意。また、君主たる者は、幼児をいつくしむように民心を大切にするので、いつも民の支持を失わないの意。
たい‐じん【太甚】
〔形動〕程度のはなはだしいさま。
●大人は赤子(せきし)の心を失わず🔗⭐🔉振
●大人は赤子(せきし)の心を失わず
高徳の人は、幼時の純一な心をいつまでも失わず、それをひろめて大きな徳をそなえるようになったという意。また、君主たる者は、幼児をいつくしむように民心を大切にするので、いつも民の支持を失わないの意。
たい‐じん【太甚】
〔形動〕程度のはなはだしいさま。
たいじん‐くんし【大人君子】🔗⭐🔉振
たいじん‐くんし【大人君子】
徳の高い立派な人。盛徳の人。
たいじん‐こく【大人国】🔗⭐🔉振
たいじん‐こく【大人国】
巨人ばかりが住むという想像上の国。
だい‐じんぶつ【大人物】🔗⭐🔉振
だい‐じんぶつ【大人物】
立派な器量、性格を備えた人。偉人。
だい‐にん【大人】🔗⭐🔉振
だい‐にん【大人】
1 おとな、たいじん。
2 仏語。仏菩薩をいう。
日本国語大辞典に「大人」で始まるの検索結果 1-33。