おお【凡・大】(おほ)🔗⭐🔉振
おお【凡・大】(おほ)
〔形動〕(「おほほし」「おぼろ」などの「おほ」「おぼ」と同意。物の形、状態、量、大きさ、感情などが漠然としているさま。多く「おおに」の形で用いられる)
1 物の形、状態がはっきりしていない。また、気持、考えがぼんやりしているさま。*万葉‐二一九「於保爾(オホニ)見しくは今ぞくやしき」*万葉‐四八一「朝霧の髣髴(おほに)なりつつ」
2 きわ立っていない。普通である。*万葉‐九六五「凡有(おほなら)ばかもかもせむを」*万葉‐三三三五「立つ波も踈(おほに)は立たず」
3 (大)大きいさま。大きめに。ゆったりと。*万葉‐一二七八「わがため裁たばやや大(おほに)裁て」
〔接頭〕
1 広大の意を添える。「おおいし」「おおうみ」など。
2 多量の意を添える。「おおゆき」「おおあめ」など。
3 賛美、尊敬の意を添える。「おおきみ」「おおみき」など。
4 血筋の順序で上位の意を表わす。「おおあね」「おおひめぎみ」など。
5 程度のはなはだしい意を表わす。「おおぬすびと」「おおおそどり」など。現在では普通「だい」を用いるような漢語にも、明治期には「おお」が使われることが多い。「おお失敗」「おお賛成」など。


おお‐ぶき【大
】(おほ‥)🔗⭐🔉振
おお‐ぶき【大
】(おほ‥)
着物の裾や袖口の裏地を折り返して表地に縫いつけ、縁のようにしたもので、その折り返しの大きなもの。花嫁衣装などに見られる。

おお‐べし【大圧・大
】(おほ‥)🔗⭐🔉振
おお‐べし【大圧・大
】(おほ‥)
1 力を入れて押しつけること。
2 しっかりと口を閉じること。ぐっと歯をくいしばること。また、そのようす。*浄・酒天童子(新類従)「大べしにへしたる口びるをきっとそらかし」
3 「おおべしみ(大
見)」の略。
4 能楽で、大
見(おおべしみ)の面をつける天狗や魔王などの登場に際して奏する囃子。笛を主とし、大・小の鼓、太鼓がはやす。歌舞伎のだんまりでも用いる。



おお‐ん【御・大御・大】(おほ‥)🔗⭐🔉振
おお‐ん【御・大御・大】(おほ‥)
〔接頭〕(「おおみ(おほみ=大御)」の変化したもの。「おほむ」とも表記。多く「御」と書かれるので、「おおん」か「おん」か判別できないが、平安時代のものは通常「おおん」であっただろうといわれる)
1 体言の上に付いて尊敬の意を表わす。
所属、所有の主を敬う場合。敬うべきお方の、の意を表わす。「おおんぐし」「おおん物語」など。*伊勢‐三九「そのみこうせ給ひておほん葬(はぶり)の夜」
行為の対象を敬う場合。敬うべきお方への、の意を表わす。*源氏‐夕顔「例の随身ばかりぞありける。召せば、御こたへして起きたれば」
2 「おおん…」の…が省略されて名詞的に用いる。*源氏‐梅枝「対の上のおほむは、三種あるなかに、梅花花やかに今めかしう」


だい【大】🔗⭐🔉振
だい【大】
形の大きさ、数の多少など、相対的な評価、認識において、大きい方あるいは多い方であることをいう。⇔小。
1 (形動)数量や形または規模範囲などが大きいこと。*平家‐二「大の眼(まなこ)」
2 (形動)ものごとの程度が大きいこと、はなはだしいこと。「その責任は重く且つ大である」*虎寛本狂言・察化「あれは都に隠れもない身ごいのさっくはと云て、大のすっぱじゃ」
3 (形動)実際よりも誇張して偉そうであったり大きかったりするさま。特に、虚勢を張った大言壮語やはったりをいう。*洒・短華蘂葉「ヱライ大いふナ」
4 太陽暦で三一日ある月。太陰暦で三〇日ある月の称。大の月。*日葡辞書「コノ ツキワ daide(ダイデ) ゴザル」
5 中世から近世初期にかけて地積の単位。一段の三分の二をいい、太閤検地以前は二四〇歩。それ以後は二〇〇歩を称した。大歩。
6 女郎の格付けで高級な位。品川の遊里で、揚代十匁の女郎をさしていう。
7 役者評判記の位付の一つ。「功」と同じく至の上、白極の下に位し、功よりは上極昇進の望みがある。
8 長大な打刀(うちがたな)のこと。小刀を「小」というのに対する。
〔接頭〕(体言に付く)
1 (名詞に付いて)
数量や形、または規模が大きい意を添える。「大群衆」「大豊作」「大庭園」「大工事」「大企業」「大辞典」「大転換」「大洪水」など。
の意に加えて、さらにそれを尊敬賛美する意を添える。「大先輩」「大編集者」「大社長」「大試合」など。
2 状態や程度を表す語に付いて、そのさまのはなはだしい意を添える。「大好き」「大混乱」「大好物」「大失敗」など。
3 位階、序列などを表す語に付いて、その上である意を添える。「大僧正」「大宮司」など。
〔語素〕具体的な物を表す語に付いて、その大きさとほぼ同じである意を添える。「こぶし大」「米粒大」「鶏卵大」など。
●大なり小(しょう)なり
(「大なれ小なれ」とも)大きいにしろ小さいにしろ。大小にかかわらず。ともかくも。*浄・曾我五人兄弟‐四「大なれ小なれ御身は曾我の世継也」
●大の男(おとこ)
1 大きな男。おおおとこ。
2 一人前の男。成人したりっぱな男。
●大の子(こ)
静岡県浜名郡地方で、小正月に豊産のまじないに用いる祝棒(いわいぼう)。
●大の字
⇒親見出し
●大の月(つき)
一か月の日数が、太陽暦で三一日、太陰暦で三〇日ある月。すなわち太陽暦で、一・三・五・七・八・一〇・十二の各月。⇔小の月
●大の虫を生かして小の虫を殺す
どうしてもやむをえない時には、大きなものを救うために、小さなものを犠牲にするということのたとえ。小の虫を殺して大の虫を助ける。
●大は小を=兼ねる[=叶(かな)える]
大きいものは、小さいものの代用品としても利用できる。






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