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大きさ = 重さの錯覚🔗🔉

大きさ = 重さの錯覚     【オオキサオモサノサッカク】 →シャルパンティエの錯覚

大きさ・距離の不変仮説🔗🔉

大きさ・距離の不変仮説     【オオキサキョリノフヘンカセツ】 size-distance invariance hypothesis  対象の張る視角(あるいは網膜像の大きさ)が一定のとき,その対象の大きさと対象までの距離の比が一定に保たれるという仮説。これを数式で表せば,S′/D′=f(θ) となる。ただし,S′は見えの大きさ,D′は見えの距離,θは視角,f は未知の関数を表す。 →大きさの恒常性 →見えの大きさ ◆東山篤規

大きさの恒常性🔗🔉

大きさの恒常性     【オオキサノコウジョウセイ】 size constancy  対象の観察距離が変化しても,その対象の見えの大きさがほぼ一定に保たれる現象。大きさの恒常性の程度は距離の手がかりの多寡と相関をもつ。普通の生活空間のように距離の手がかりが豊かに与えられた状況では,対象までの距離が大きくなると,対象の視角は距離にほぼ反比例して縮小するが,その見えの大きさは一定に保たれる(完全恒常)。しかし,たとえば,暗室のなかで対象を観察することによって距離の手がかりを減らすと,視角の変化ほどには縮小しないが,遠くに呈示された対象ほど小さく見える(不完全恒常)。さらに,距離の手がかりをすべて除いた状況では,対象の見えの大きさは視角の大きさに比例する(視角の法則)。また,距離の手がかりが豊富な状況では,同一の対象を遠くに呈示した時ほど,その対象が大きいという判断を得ることもある(超恒常)。大きさの恒常性は,距離の手がかりのほかにも,測定法(二刺激比較法と単一刺激法),標準刺激と比較刺激の位置関係,観察者に与える教示,観察者の発達水準などによって大きく変動する。 →大きさ・距離の不変仮説 →恒常尺度過程 →空間知覚 →超恒常 ◆東山篤規

大域優先🔗🔉

大域優先     【ダイイキユウセン】 →‘木よりも森が先’仮説

大うつ病🔗🔉

大うつ病     【ダイウツビョウ】 →気分障害

大気遠近法🔗🔉

大気遠近法     【タイキエンキンホウ】 aerial perspective ; atmospheric perspective  奥行きの知覚に関する絵画的手がかりの一つ。観察者と事物との間に介在する水蒸気によって,遠景の事物の輪郭はぼやけ,全体に青味がかり,しかも開口色的な見え方をする。画家はこのような見え方を画布に再現して,平面の上に奥行きを表現しようとした。このような絵画表現の手法を大気遠近法という。実際の生活においても,水蒸気の濃度に応じたこのような光の変化を手がかりにして,遠景の奥行きの知覚を得ているといわれる。 →奥行き知覚 ◆東山篤規

大細胞系/小細胞系🔗🔉

大細胞系/小細胞系     【ダイサイボウケイ/ショウサイボウケイ】 magno system / parvo system  リヴィングストンとヒューベル(Livingstone, M. S. & Hubel, D. H.1988)により体系づけられた視覚神経系の二つの下位系。大細胞系(マグノ系)は,タイプAの網膜神経節細胞から出発して,外側膝状体しつじようたいの大細胞層で中継され,大脳皮質 V1野の4Cα層や4B層を経てV2野の太縞領域へ,さらにMT野という連結性をもつ。この系のニューロンの応答は,一般に,高い時間分解能や高いコントラスト感度,そして比較的低い空間分解能を示す。には弁別的応答を示さないが,運動や両眼視差に選択性を示すので,運動の知覚奥行き知覚に密接な関連があるとされる。もう一方は小細胞系(パーボ系)とよばれる経路で,タイプBの網膜神経節細胞から外側膝状体の小細胞層という経路をたどり,V1野でさらに二つの下位系に分かれる。その一つは,4Cβ層→ブロッブ間領域→V2野の帯間領域→V3野およびV4野という経路で,インターブロッブ系と名づけられている。他方は,4Cβ層→ブロッブ→V2野の細縞領域,さらにV4野に連結性をもち,ブロッブ系とよばれる。一般に小細胞系の受容野は小さく,解像度が高い。インターブロッブ系のニューロンは,刺激の末端に弁別的応答を示すエンドストップ特性をもち,形状の詳細な分析を担う役割をもっていると考えられる。ブロッブ系のニューロンは波長選択性を示し,色知覚に関与しているとされる。 →視覚 →視覚生理学 →背側ストリーム/腹側ストリーム →ブロッブ細胞 →vid.文献 ◆行場次朗

大衆🔗🔉

大衆     【タイシュウ】 mass  互いに異質な属性をもつ匿名の多数者からなる未組織の集合体をさして大衆という言葉が用いられる。19世紀末から20世紀初頭にかけて,ル・ボンは民衆の群集性から大衆の出現を予見し,タルド群集とは区別されるものとして公衆(public)という概念を提出した。群集は空間的に近接し群集心理に支配され集合行動を起こすとされるが,大衆は散在しながらマス・メディアに媒介されて集合体を形成するとされる。また,公衆は世論の担い手として新しい社会を作り支えるとされるが,大衆は大量の商品の消費者であるとともにマスコミの「受け手」として操作されやすいとされる。マルクス主義的な立場においては生産を担い歴史を推進する主体として肯定的意味をもつが,大衆社会論においては受動的で同調的な性格により民主制を変質させる存在として両義的または否定的意味をもつ。なお,大衆についての議論には,集合を実体と見なすものと,現象(流行流言,普及など)と見なすものがある。 →大衆社会 →群集 →群集心理 →集合行動 →マス・コミュニケーション →マス・メディア ◆山田一成

大衆社会🔗🔉

大衆社会     【タイシュウシャカイ】 mass society  近代社会との対比において広義の現代社会の特徴を示すために大衆社会という用語と概念が用いられる。その特徴は,官僚制化,産業化,都市化,情報化,交通手段の発達などによって生じる移動性,匿名性,役割と地位の高度の専門化,二次的集団の優越,伝統的価値体系の崩壊,共同体への帰属意識の喪失などで,こうした社会構造の変化を大衆化(massification)とよぶ。フロムのファシズム研究は大衆心理に焦点を当てた大衆社会論であるが,その後も第二次大戦後のアメリカ社会を対象として,中間集団の解体による個人の原子化に焦点を当てた議論(ミルズ Mills, C. W., コーンハウザーKornhauser, W. A. など)や,巨大集団への過同調と強制的画一化に焦点を当てた議論(リースマン Riesman, D., ホワイト Whyte, W. H., Jr. など) がなされた。 大衆社会論における個人(大衆)は,孤独と不安を抱え情緒的で非合理的な判断を行う存在として,また,マスコミによる操作を受けやすく他者に同調しやすい存在として把握されている(マンハイム Mannheim, K. の「甲羅のない蟹」,フロムの「根無し草」,リースマンの他者志向型,ホワイトの組織人,など)。 →大衆 →同調 →他者志向型/内部志向型/伝統志向型 →マス・コミュニケーション →マス・メディア ◆山田一成

大脳🔗🔉

大脳     【ダイノウ】 cerebrum  のなかで,終脳,間脳および中脳を合わせて大脳という。それに対して,残りのきよう小脳延髄を菱脳という。終脳は正中線にある大脳縦裂によって左右の大脳半球に分かれる。終脳の表面は多くの神経細胞の集合した灰白質大脳皮質でおおわれ,その内側には神経線維からなる白質大脳髄質がある。この大脳皮質と大脳髄質を合わせて外套とよぶ。大脳髄質の深部にはさらに大脳核とよばれるいくつかの神経核を含む灰白質がある。大脳皮質は系統発生的に古い古皮質原皮質と新しい新皮質からなる。古皮質・原皮質は大脳核の一部および新皮質の一部(中間皮質)とともに,脳幹(間脳・中脳・橋・延髄の総称)を取り巻く大脳辺縁系を構成する。新皮質は機能的に感覚野運動野,および連合野に区別される。間脳は,第三脳室を囲む大きな灰白質の塊で,視床,視床上部,視床後部,視床下部の四つの部分からなる。それぞれの部分は多くの核を含む。中脳は間脳の下方にあるきわめて狭い領域で,四丘体・中脳被蓋・赤核・黒質・内側毛帯・中心灰白質など多くの核と線維群が存在する。大脳は,機能的に菱脳より上位に位置し,外的環境に適応する高次な精神過程により密接に関係するのに対して,菱脳は呼吸・睡眠・意識・自律機能など生命維持に重要な機能を果たす。しかし,両者は,互いに独立ではなく,相互に影響し合う。 →間脳 →中脳 →橋 →小脳 →延髄 →大脳半球 →視床 →視床下部 →髄条 →松果体 →交連線維 ◆靱負正雄

大脳化🔗🔉

大脳化     【ダイノウカ】 encephalization  系統発生的にみて,動物が高等になるほど中枢神経系も進化し,のなかで大脳皮質の占める割合が増える。それとともに,下等動物では低次の中枢に支配されていた機能が,高等動物ではより高次の中枢に支配されるようになり,大脳皮質の果たす役割が増大する。これを大脳化という。たとえば,視覚中枢は魚類や鳥類では被蓋にあるが,ネズミでは後頭葉にあり,高等動物になるほど後頭葉損傷によって重い視覚障害を起こすようになる。 →脳 →大脳皮質 →中枢化 ◆浜村良久

大脳核🔗🔉

大脳核     【ダイノウカク】 cerebral nuclei ; basal ganglia  大脳半球白質中にある灰白質で,基底核とか終脳核ともいわれる。基底核には通常,尾状核・レンズ核(被殻と淡蒼球)・前障・扁桃核が含まれる。さらに,マイネルト(Meynert, T.)の基底核をこれに加えることがある。尾状核と被殻は合わせて(新)線条体(corpus striatum ; neostriatum)とよばれる。ちなみに,淡蒼球は古線条体(paleostriatum),扁桃核は原始線条体(archistriatum)といわれる。尾状核やレンズ核は前頭葉運動前野から線維を受ける錐体外路系に属し,運動の調節,特に筋の緊張統御に関係する。パーキンソン病舞踏病は大脳核の異常による。また,線条体は小脳とともに非宣言的記憶(手続記憶)に関与する。扁桃核は以前は嗅覚にもっぱら関係する領域と考えられていたが,最近では,むしろ感情認知および記憶に密接に関係することが明らかになってきた。扁桃核が損傷されると,クリューヴァー = ビュシー症候群として知られている認知,情動障害を生じる。マイネルトの基底核は広範な大脳皮質に投射するが,アルツハイマー型老年痴呆ではこの核の細胞が脱落する。前障は広範な大脳皮質と相互に投射関係をもつが,その機能的意義は不明である。 →パーキンソン病 →舞踏病 →扁桃核 →手続記憶 →クリューヴァー = ビュシー症候群 →アルツハイマー型老年痴呆 ◆靱負正雄

大脳髄質🔗🔉

大脳髄質     【ダイノウズイシツ】 medullary substance(of cerebrum)  大脳半球の内部を占める有髄神経線維の集団。髄鞘が白く見えることから髄質を白質ともいう。この髄質には左右の半球間の皮質を結ぶ交連線維,同一の半球内の皮質領野間を相互に結ぶ長・短の連合線維および皮質と皮質下を結ぶ投射線維がある。おもな交連線維に脳梁と前交連がある。長連合線維には,帯状束,鉤状束,弓状束,上縦束,下縦束がある。短連合線維は隣接した脳回の皮質領野間を結び,弓状線維または U線維とよばれる。 →白質 →交連線維 →脳梁 ◆靱負正雄

大脳半球🔗🔉

大脳半球     【ダイノウハンキュウ】 cerebral hemisphere  大脳のうち,終脳の部分を大脳半球とよぶ。大脳半球は表層の外套と深部の大脳核からなる。外套は表面の大脳皮質とより深部の白質大脳髄質からなる。大脳半球は,大脳縦裂により左右の半球に分けられるが,大部分は正中線上にある脳梁によって結合されている。また大脳半球は大脳横裂により小脳と分けられる。外套の表面には多くの溝(脳溝)と,溝の間の隆起(脳回)がみられる。脳溝のうち,中心溝外側溝・頭頂後頭溝によって四つの大脳葉(前頭葉側頭葉頭頂葉後頭葉)に区別される。その他に,大脳半球の内側面に,帯状溝と嗅脳溝および側副溝によりほかの大脳葉から区別される辺縁葉がある。  大脳半球は,機能的に感覚知覚認知・運動・思考言語などさまざまな高次心理機能に関係するが,特定の機能が一方の半球により密接に関係する,いわゆる機能の半球優位性が特にヒトで認められる。この場合,密接に関係する半球はその機能に関する優位半球(dominant hemisphere)とよばれ,その対側半球は劣位半球(minor hemisphere)とよばれる。このように,ある機能について半球間に関与の偏りがみられることを側性化(lateralization)という。半球優位の存在は,いくつかの機能においてよく知られており,言語は左半球優位であるのに対して,顔・音楽などの非言語的認知・記憶や視空間認知は右半球優位であることが示されている。 →大脳核 →大脳皮質 →大脳髄質 →前頭葉 →側頭葉 →頭頂葉 →後頭葉 →大脳半球優位 ◆靱負正雄

大脳半球の機能的非対称性🔗🔉

大脳半球の機能的非対称性     【ダイノウハンキュウノキノウテキヒタイショウセイ】 →ラテラリティ

大脳半球優位🔗🔉

大脳半球優位     【ダイノウハンキュウユウイ】 cerebral dominance  左右二つの大脳半球の間に機能の分化があり,特定の機能に関して一方の半球が他方より強く関与していること。左半球損傷によって失語症が起こることから言語機能は左半球優位とされ,視空間認知構成機能は右半球優位とみられているが例外もある。言語習得以前に左半球を切除しても言語が習得されることからも明らかなように,半球優位には可塑性があり,絶対的なものではない。 ◆河内十郎

大脳皮質🔗🔉

大脳皮質     【ダイノウヒシツ】 cerebral cortex  大脳半球の外套の表層にみられる1.5mmから4mmの厚さの灰白質の部分。エコノモとコスキナス(von Economo, C. & Koskinas, G. N.)によれば,大脳皮質は,全体で約140億の神経細胞からなる。大脳皮質は,系統発生的に古い古皮質原皮質と新しい新皮質に分けられる。両生類では古皮質と原皮質のみが存在し,新皮質はない。新皮質は爬虫類になって初めて出現し,特に哺乳類で発達している。大脳皮質表面にはたくさんの溝がみられるが,大きな深い脳溝によって五つの大脳葉の皮質部分は,それぞれ前頭葉皮質,側頭葉皮質,頭頂葉皮質,後頭葉皮質,辺縁皮質とよばれる。辺縁皮質は古皮質・原皮質および中間皮質からなる。中間皮質には前頭葉眼窩皮質・側頭極およびとうが属する。  大脳皮質はその細胞構築学的特徴により多くの領野に分類される。これらの領野の分化は,同時にそのもっている機能の分化を示し,大脳皮質における機能の局在が認められる。大脳皮質は,外界や生体内部から送られてくる五感(嗅覚味覚・体性感覚・視覚聴覚)の情報を受ける感覚野と,運動をつかさどる運動野,およびそれ以外の連合野に大きく区別される。嗅覚・味覚の第一次感覚野は古・原・中間皮質にあるのに対して,体性感覚・視覚・聴覚の第一次感覚野は新皮質に存在する。嗅覚野は梨状葉に,味覚野は島にある。体性感覚野は,中心後回の3野・1野・2野が,聴覚野は側頭葉皮質の41野・42野が,視覚野は後頭葉皮質の17野が相当する。運動野は中心前回の4野にあり,その前に運動前野(6野)が存在する。大脳皮質の残りの部分が連合野に相当する。連合野は,元来,フレクシッヒ(Flechsig, P.)が神経線維の髄鞘形成過程の遅い領域を,形成の早い感覚中枢や運動中枢に対して「連合」中枢と名づけたことに由来する。この皮質は,系統発生的にも最も新しい領域で,下等哺乳類ではあまり発達していないが,霊長類での発達は著しく特にヒトで顕著で,大脳皮質に占める割合が大きい。連合野は,知覚・認知・記憶・判断・運動の企画・思考・意志・創造・感情など高次精神過程に密接に関係する。 →古皮質 →原皮質 →中間皮質 →新皮質 →細胞構築 →連合野 ◆靱負正雄

大脳辺縁系🔗🔉

大脳辺縁系     【ダイノウヘンエンケイ】 limbic system  大脳新皮質の内側にあり,間脳大脳(基底)核を取り囲むようにして存在する領域。古皮質の扁桃体,梨状皮質,原皮質海馬中隔中間皮質帯状回,海馬傍回,鉤からなる。情動脳としてよく知られている。脳幹,間脳あるいは大脳皮質連合野と線維連絡があり,脳幹から内界情報を受け取り,大脳皮質連合野経由の外界情報と統合することによりその情動的評価を行い,出力として間脳あるいは脳幹に信号を送り,情動行動や本能行動およびそれらに付随する内分泌・自律神経反応の発現を調節する。また学習記憶機能に重要な役割を果たしており,海馬や扁桃体の破壊で著明な学習・記憶障害が起きる。海馬ニューロンの長期増強反応は学習・記憶の細胞モデルとしてその細胞分子機構が詳しく研究されている。情動調節に関しては,扁桃体は恐怖反応,海馬は不安反応に関係する。また中隔―海馬系は脳内自己刺激が有効な部位であり,報酬系としても知られている。 →海馬 →扁桃核 →帯状回 →中隔核 ◆粟生修司

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