複数辞典一括検索+

プロプリウム     【プロプリウム】🔗🔉

プロプリウム     【プロプリウム】 proprium  G. W. オルポートの用語。固有我。主我と客我を一体のものとして捉え,人の内面の統一を果たすパーソナリティのあらゆる側面をさす言葉として提唱された。我々が直接に意識することができる固有の領域であり,かつ,あらゆる行動に指令を出す生の核となるものとされる。プロプリウムには次の八つの機能が含まれる。身体感覚,自己同一性,自我高揚,自我拡大,合理機構(rational agent),自己像,本来的希求(propriate striving),認識者(the knower)。 →自己 →自己概念 →社会的自己 →自尊感情 ◆安藤清志

フロム     【フロム】🔗🔉

フロム     【フロム】 Fromm, Erich(1900-80)  新フロイト派の精神分析学者。ユダヤ系ドイツ人。社会経済的な条件とイデオロギーの媒介項として社会的性格(social character)の概念を提示し,後の大衆社会論に大きな影響を与えた。フロムは,亡命先のアメリカで出版された『自由からの逃走』(1941)で,ナチズム台頭の理由を,ナチスのイデオロギーを信奉した下層中産階級の社会的性格に注目して明らかにした。第一次大戦後のドイツでは,破局的なインフレが進むと同時に伝統的権威が解体し,下層中産階級は経済的・道徳的に打撃を受けた。この社会層の抱く無力感や怒りは,権威主義的な社会的性格として先鋭化し,これがナチスのイデオロギーを受容する素地となったという。この分析を通じてフロムは,近代人が伝統的権威や束縛から自由になった反面,自由であるがゆえの孤独感・不安感(自由への恐れ)にとらわれていること,この恐れから逃避して非合理的権威に服従する危険性を秘めていることを明らかにしたのである。 →vid.文献 ◆高田一宏

心理学辞典 ページ 1961