調音 【チョウオン】🔗⭐🔉振
調音 【チョウオン】
→構音
聴覚 【チョウカク】🔗⭐🔉振
聴覚 【チョウカク】
hearing ; auditory sensation
ほぼ16Hz〜20kHzの空気の振動が外耳,中耳,内耳を経て,
大脳の聴覚中枢に伝えられた時に生じる
感覚。大きさ(loudness),高さ(pitch),音色(timbre)などの属性がある。
音の大きさは「
音の強さに関する聴感上の属性。小から大に至る尺度上に配列される」と定義されており(JIS Z8106),強さに対応して大きさは変化する。しかし,音の強さが同じでも,
周波数が異なれば大きさも異なる。「正常な聴覚をもつ人が,等しい大きさに感じる
純音の音圧レベルを周波数の関数として示す曲線」(JIS Z8109)を音の大きさの等感曲線(equal loudness contour)という(下図,ISO 226, 1987)。
図表
この等感曲線に示されるように,「ある音について,正常な
聴力をもつ人が,その音と同じ大きさに聞こえると判断した 1000Hzの純音の音圧レベル」(JIS Z8109)を音の大きさのレベル(単位記号:ホン phon)という。
複合音の大きさのレベルを算出する方法はISO 532に国際規格として標準化されている。なお,音の大きさのレベルの測定,算出には手数を要するため,
騒音測定などの現場では約40ホンの曲線に近似したウェイトをかけたA特性音圧レベルで聴感補正を行っている。また,日常生活のなかにある音のほとんどが時々刻々レベルが変化する音であるが,このような変動音の大きさは一般に次式で定義される等価騒音レベル(LAeq, T, JIS Z8731)とよい対応を示す。
数式
音の高さは「聴覚にかかわる上の音の性質の一つで,高低で表現されるもの」と定義されている(JIS Z8109)。高さの印象は主として周波数に依存し,可聴範囲内では周波数が増すにつれて,高さの印象も対応して変化する。複合音の高さは,一般に基本音の周波数の純音の高さに対応する。調和成分からなる音で,その基本音を欠く時(たとえば,400,600,800,1000Hzからなる複合音)でも,基本音の周波数(上記の例では200Hz)に対応した高さが知覚される。この現象をロー・ピッチ(low pitchまたは residue pitch ; missing fundamental)とよぶ。物理的に存在しない音の周波数に対応した高さが知覚されるこの現象は聴覚理論の場所説では説明できないものである。
音色は「聴覚にかかわる上の音の性質の一つで,2音の大きさ及び高さが共に等しくても,その2音が異なった感じを与えるとき,その相違に対応する性質」と定義されている(JIS Z8109)。音色には音源認知の側面と感情的側面があるが,この定義ではあいまいであり,難波精一郎1992は二つの側面を明確に区別して,「(1)音源が何であるか認知(識別)するための手掛かりとなる特性,(2)音を聞いた主体が音から受ける印象の諸側面(多次元的属性)の総称で感情的色彩を帯びる。この音色的印象は種々の音色表現語で記述しうる」との定義を提案している。音色は多次元的属性であり,種々の物理的要因が影響するが,さまざまな音を用いた多くの研究の結果,音色を決定する因子として,「迫力因子」「金属性因子」「美的因子」の三つに代表されることが報告されている。対応する物理量として,「迫力因子」は音圧レベル(LLaq),「金属性因子」は音の周波数構成や継続時間,立ち上がり時間など時間的要因が考えられる。また,「美的因子」に関しては,音圧レベルや周波数構成なども影響するが,個人的・文化的要因が関与し,物理量のみでは予測できない。
この他,聴覚は時間の流れに沿って成立する感覚であり,時間的要因に伴う興味深い現象も多い。また,三次元空間での音源の定位,音声,音楽の知覚などそれぞれの項目を参照されたい。
→音の大きさ →音の高さ →音色 →音響心理学 →音の遮蔽 →音源定位 →音声知覚 →聴覚器官 →両耳聴《難波精一郎1984;Zwicker, E. & Fastl, H.1991;Moore, B. C. J.1989》
→vid.文献
◆桑野園子













心理学辞典 ページ 1510。