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組織心理学     【ソシキシンリガク】🔗🔉

組織心理学     【ソシキシンリガク】 organizational psychology  産業心理学を母体とした応用心理学の比較的新しい分野であり,組織における人間行動を,個人とそれをとりまく組織環境との相互依存的関係のなかで理解することをめざしている。第二次大戦後のめざましい技術の進歩により,産業組織もまた高度な発展をとげるに至ったが,それは同時に組織の巨大化,複雑化を伴うものでもあった。こうしたなかで,1960年代後半に入り,それまでの伝統的な産業心理学を批判する形で組織心理学が形成されていった。たとえば,伝統的な産業心理学では,選抜や訓練適性といった問題は,個人を職務にどうあてはめるかという枠組のなかで考えられてきた。しかしこうした問題は,じつは集団の特性や組織風土,組織構造といった,個人をとりまく組織環境と密接に関わっており,したがって,組織成員の行動は,組織と個人との相互作用のなかで捉えていくことが必要とされる。この点について,組織心理学者のシャイン(Schein, E. H.1980)は,組織は複雑な社会的システムであり,組織における個人の行動は,この社会的システム全体を考慮に入れて理解されねばならないことを強調している。  組織心理学は産業心理学を母体とするものではあるが,その学問的性格は行動科学であり,社会学,社会心理学,経営学をはじめ,文化人類学や政治学など隣接諸科学と緊密な関係を有している。研究の関心は,個人と組織との相互作用過程という枠組のもとに,仕事動機づけ,組織構造,リーダーシップの影響過程,組織コミュニケーション,意思決定,組織活性化,組織開発など,組織における人間行動の広範な領域に及んでいる。アメリカ心理学会(APA)では,1973年に第14部会「産業心理学」の名称が「産業・組織心理学」と改称され,学会における正式な部門として認知された。日本では1985年に産業・組織心理学会が発足し,人事,組織行動,作業,市場の4部門に分かれて研究活動が展開されている。 →産業心理学 →組織風土《若林満・松原敏浩1988→vid.文献 ◆角山剛

心理学辞典 ページ 1388