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洗脳     【センノウ】🔗🔉

洗脳     【センノウ】 brainwashing  朝鮮戦争中に捕虜が北朝鮮や中国共産党によって受けたとされる尋問と教化のパターン。思想改造(thought reform)あるいは威圧的説得(coercive persuasion)ともよばれる。より一般的には,説得の強制的スタイルであり,新しい考えに対する抵抗力が弱い原初的な状態へ個人を導いて,その個人の意志に反して,根本的に信念を変化させるものである。洗脳は,強制的に個人の信念と対立する信念を吹き込み,個人のそれまでの政治的,宗教的信念,またそれらに立脚するアイデンティティを徐々に害するものと考えられた。アメリカでは,この影響力の効果を高める変数は,(1)薬物,(2)感覚遮断,(3)催眠,(4)条件づけ,(5)身体衰弱であるとされ,電気ショックや大脳外科手術,インシュリン・ショックをも含む集中的研究が行われた。その結果,これらの要因は非常に被暗示性の高い変性意識状態(altered state of consciousness)を導くものであり,被験者の素因的な特徴や身体的強制は,洗脳過程に本質的であるとは見なされなかった。この研究は洗脳の技術開発にはあまり成功しなかったが,その後の薬物療法,行動の条件づけ,電気痙攣療法などの心理療法にインパクトを与えた。 →アイデンティティ →感覚遮断 →催眠 →条件づけ →信念 →電気痙攣療法 ◆西田公昭

心理学辞典 ページ 1351