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シナプス     【シナプス】🔗🔉

シナプス     【シナプス】 synapse  神経細胞相互の接合部位。通常,ニューロンの軸索終末またはその途中が膨らんでシナプス小頭部となって,その標的のニューロンや筋細胞と接触する時につくる継ぎ目構造をいう。化学シナプスと電気シナプスの2型があり,後者ではシナプス間隙は20nmである。前者ではシナプス伝達は終末からの神経伝達物質の放出の結果起こり,後者はシナプス前部の活動電流で直接起こるものである。  化学シナプスは次のような生理的性質を示す。(1)一方向伝達:興奮は一方向にしか伝わらない。この伝達の方向によりシナプス前部とシナプス後部とに分けることができる。(2)シナプス遅延:興奮がシナプスを通過するには,神経線維を伝導するよりはるかに遅い特別の時間を要する。(3)薬物,イオン高感受性:薬物やカルシウム・イオンの欠如などに感受性が特に高い。(4)逆転電位の存在。また形態学的にはシナプス肥厚,シナプス小胞の集積,20〜50nm幅のシナプス間隙などによって特徴づけられる。特殊な場合では,樹状突起間,軸索間にシナプスがつくられる場合がある。電気シナプスはギャップ・ジャンクション(gap junction)ともよばれ,コネクソン(connexon)とよばれる構造で細胞間が結合しており,ここをイオンや低分子量の分子が通過する。したがって(1)〜(4)のような性質はみられず,時間的に早い応答を示すのが特徴である。成熟哺乳類の中枢神経系ではあまりみられないが,発達期や下等脊椎動物では珍しくない。  化学シナプスではインパルスが終末に到達すると,カルシウム・イオンの終末内への流入が起こり,これにトリガーされる化学反応の連鎖により,シナプス小胞がシナプス前膜に融合し,開口分泌により小胞に含まれる神経伝達物質が放出されると考えられている。伝達物質の受容体への結合の結果,シナプス後膜におけるイオンの透過性が変化し,シナプス後膜において脱分極性の興奮性シナプス電位または過分極性の抑制性シナプス後電位が生じる。 →興奮性シナプス電位 →抑制性シナプス後電位 →脱分極/過分極 →化学伝達 ◆村上富士夫

心理学辞典 ページ 920 でのシナプス単語。