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実験     【ジッケン】🔗🔉

実験     【ジッケン】 experiment  心理学の場合,行動を引き起こす条件を明確にし,条件と行動との関数関係を定立するために,人為的条件を設定して観察,記録,測定すること。これに対しありのままに観察する場合は,観察とよび区別される。実験は,実験を行う場所の点から実験室実験現場実験ないしフィールド実験に区別する場合もある。通常は,研究者が行動を引き起こす条件と行動との関係についての仮説を立て,それを実験的に検証するため,作業仮説(working hypothesis)としてまとめ,実験が行われるが,研究の初期ではどの要因が行動を引き起こすかそれ自身を見出すために実験が行われることもある。前者は仮説検証実験,後者は探索実験とよばれる。また量的実験と質的実験とに区別されることもある。これらの実験は,つねに個別に後者,前者の順に実験が行われるわけでなく,統合されて一つの実験とされることも多い。  実験者が操作する要因を独立変数あるいは実験変数といい,観測される量的測度,質的測度を従属変数という。心理学の実験の場合,独立変数,従属変数は,必ずしも直接観察されない「動機,要求」等の心理的機能であることが多い。したがってこの場合は,その心理的機能を表している外部的変数で代表する。この場合,独立変数における操作の妥当性,従属変数の測度の妥当性が問題となる。実験では,変数すなわち独立変数あるいは実験変数のうち少なくとも一つが実験中あらかじめ決定された条件のもとで組織的に変化される。したがって,以下のように条件統制を行い,注意ぶかく実施されねばならない。実験は,独立変数が存在する場合と存在しない場合とで比較されることもあれば,独立変数が量的に変化される場合もある。実験に際し,ほとんどの場合,独立変数以外の従属変数に影響する要因が存在する。この変数は,二次変数ないし剰余変数といわれるが,本来統制されるべき変数である。二次変数は除去化,恒常化,独立変数化,均衡化,統計的調整化の手法により,統制される。  実験の対象となる人間を被験者,動物を被験体とよぶが,対象の選択に当たっては,結果の一般化をどの集団に適用するかで選択の範囲が決まる。被験者の選択に当たり,母集団標本との統計学的な無作為抽出の技法に従い,注意ぶかく行う必要がある。また知覚認知実験では,特定の技術を有する少数の被験者が選択される場合があるが,二次変数の統制,現象の抽出の観点からはむしろ望ましいことが多い。被験者,被験体にどの条件を割り当てるかは,実験計画法に従う。すなわち一要因の実験配置法として被験者あるいは被験体を実験群と統制群に配置したり,独立変数を量的に変化させ,実験群を複数配置したりする。また,複数の独立変数を操作するために多次元の要因配置法により被験者を配置する場合もある。また同一の被験者に対して,複数の独立変数の操作を受ける方法も開発されている(繰返し効果ないし被験者内要因)。  この他,実験に当たっては,実験を企画実施する実験者自体が変数となる実験者効果にも注意が払われねばならない。実験者は被験者あるいは被験体に対して,実験者の期待,動機づけを無意図的に行動として示している場合があり,それが何らかの手がかりとなって被験者の行動が変化する場合がある。このように条件統制は実験において最重要視される問題であるが,その他に,実験の内容について吟味を怠ってはならない。研究者は研究のためなら,被験者および被験体に対してどのような実験を行ってもいいのではない。明らかに倫理的に問題のある実験は行うべきではないのは当然のことである。アメリカ心理学会(APA)では,心理学者および学生が守るべき倫理規定が定められている。 →独立変数/従属変数 →実験計画法 →実験者 →実験者効果 →被験者 →現場実験 →実験室実験 →ディセプション《中島義明1992→vid.文献 ◆嶋田博行

心理学辞典 ページ 888 での実験     単語。