視空間 【シクウカン】🔗⭐🔉振
視空間 【シクウカン】
visual space
空間知覚において,
視覚によって
知覚される空間をいう。
ギブソン(Gibson, J. J.1950)は視空間の現れ方を視覚世界(visual world)と視覚野(visual field)とに区別した。視覚世界は現実に知覚される空間であり,境界をもたず観察者の周囲に広がっている。また,大きさ,形,位置,方向などに関する知覚の恒常性がみられ,観察者の移動や身体の動きにかかわらず安定さが保たれている。これに対して,視覚野は,1点を注視した際にみられる
遠近法による絵画的な空間であり,上下左右に境界をもち,三次元世界を二次元像へ投影する性質をもつ。視覚野には視覚世界でみられる知覚の恒常性はなく,眼の動き,身体の移動などに伴いサーチライトが投射されている面のように変化する。ギブソンはこれらの空間を規定する要因として,日常的,行動的態度が視覚世界の知覚に影響を与え,遠近法的,分析的態度が視覚野に作用すると考えた。また,
ボーリング(Boring, E. G.1952)は,視空間知覚の成立は外界の刺激情報によると考えた。すなわち,知覚的手がかりの大きい条件では視覚世界が成立し,知覚的手がかりが少ない感覚的還元条件では視覚野が成立する。このほか視空間の問題として取り扱われるものに,視空間の安定性や
異方性,三次元性の知覚(水平,垂直,奥行き立体視の要因),視空間と
触空間(
ストラットンの実験)などがある。
→空間知覚 →恒常現象 →触空間
→vid.文献
◆菅野理樹夫









心理学辞典 ページ 823 での【視空間 】単語。