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催眠     【サイミン】🔗🔉

催眠     【サイミン】 hypnosis  18世紀後半ウィーン生まれの医師メスメル(Mesmer, F. A.)がパリで動物磁気という名前で心の悩みをもつ人たちに心理療法を行った。これが現在,催眠とよばれている現象を科学的に用いた最初であるといわれている。  催眠には二つの大きな側面がある。一つは催眠状態とよばれる意識状態であり,もう一つは,催眠状態において生じる催眠暗示現象である。催眠の意識状態としては,現実感覚が薄れ,理性的思考が緩み,想像の世界のなかに入り,想像自体が現実味を帯びるような意識状態と考えられる。この意識状態は,催眠性トランスともよばれる。この意識状態は変性意識状態(ASC)の一つであるが,催眠意識状態に関する研究は,ASCとの関連で行われることが多いようである。催眠暗示現象には,代表的なものとして以下のものがある。運動性の暗示現象として,四肢などが動くあるいは動かない現象,固くなる現象などである。知覚性の暗示現象としては,たとえば,痛みや温感,味覚聴覚触覚などにおける知覚の変容である。特に身体知覚における暗示現象は生じやすい。人格性の暗示現象としては,年齢退行,健忘,自動書記,人格交替,後催眠暗示などのさまざまな暗示現象がある。暗示現象と同じ行動を演技的に行うことは可能である。しかし暗示現象は演技と大きく異なり,その人自身には自分が行っている感覚がない。催眠状態と催眠暗示現象の関係は,催眠状態とは,暗示現象が生じやすくなるような意識構造と考えることができる。それに対して,暗示現象は明確に表に現れる現象である。  催眠状態は催眠に誘導するプロセスを経過してはじめて生じるという考え方もあるが,最近は催眠状態は日常生活のなかでもよく生じているというように,催眠状態に入るプロセスよりも,その意識状態の特徴に関心が向けられるようになってきている。 →暗示 →後催眠暗示 →催眠性トランス →催眠分析 →催眠療法 →自己催眠 →被暗示性《Fromm, E. & Nash, M. R.1992;Fromm, E. & Shor, R. E.1979;門前進1990;成瀬悟策1960;Zinberg, N. E.1977→vid.文献 ◆門前進

心理学辞典 ページ 756 での催眠     単語。