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再生/再認     【サイセイ/サイニン】🔗🔉

再生/再認     【サイセイ/サイニン】 recall ; reproduction / recognition  再生と再認の相違については,二つの考え方がある。一つは記憶痕跡に基づく考え方であり,もう一つは検索過程の問題にかかわる考え方である。記憶痕跡の流れでは,再生と再認は基本的に同一であるが,痕跡強度が強い時には再生と再認ともに可能であるが,弱い時には再認のみ可能であるとする。第二の考え方では,生成 = 再認説,符号化特定説,二重経路説が提唱されている。  生成 = 再認説はアンダーソンバウアー(Anderson, J. R. & Bower, G. H.1972)によって提唱され,検索過程を生成段階と再認段階に分けている。二段階説ともよばれている。再生課題では問題として与えられた情報に基づいて自発的な検索手がかりを作り,有力な候補を記憶表象のなかから探索する生成段階と,この候補項目がターゲット項目と同じであるかどうかを照合する再認段階を必要とする。しかし,再認課題では発見されるべき情報項目が呈示されているので,生成段階を必要とせず,ターゲット項目との照合という再認段階が行われている。また,符号化やテスト時の文脈には影響されない。生成 = 再認説によると,生成段階と再認段階の両方の成功した項目だけが再生される。  符号化特定説は,トムソンとタルヴィング(Thomson, D. M. & Tulving, E.1970)によって提唱された。ある項目が符号化されるとき,その項目だけでなく多くの付随した文脈情報も同時に符号化され,検索時に手がかりとして利用されるとした。手がかりに含まれている情報が項目の記憶表象の一部として符号化されている時に限り,検索の手がかりとして記憶表象の検索を促進する。そのため,学習時と検索時の文脈が一致しているほど検索に成功する可能性が高い。  二重経路説(dual recall routes theory)はジョーンズ(Jones, G. V.1978)によって提唱された説であり,検索には二つの独立な経路が存在している。一つは符号化特定性原理に似た直接アクセスによる検索であり,再認段階が含まれない。もう一つの経路は間接的な生成 = 再認経路で,生成段階でターゲット項目の候補を提案し,再認段階で照合判断がなされる。まず,初めに直接経路で検索が試みられ,それでうまくいかない場合に,間接的な経路が使用されるとする。 →記憶 →記憶痕跡 →検索 →符号化特定性原理《太田信夫1988a;御領謙ほか1993→vid.文献 ◆中村奈良江

心理学辞典 ページ 747 でのサイセイ/サイニン単語。