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意識     【イシキ】🔗🔉

意識     【イシキ】 consciousness  ものを見る,話を聞く,おかしくて笑う,計画を練るなど,我々が直接的に心の現象として経験していること,これは私の経験だと感じることのできることを総体的に意識とよぶ。意識内容は意識する当人のみが経験しており,その内容は,言語などで表現し,知識として共有し,文化として蓄積することはできても,その時の経験そのものを他人が直接的に知ることはできない。直接的な意識経験はつねに「私の意識」という性質をもつのである。つまり,意識現象はきわめて特殊な現象であり,そのつどただ一回限りの出来事だといわねばならない。それゆえ意識は自然科学の対象として客観的に研究する素材とはならず,意識を心理学のテーマとして直接に取り上げることは敬遠されがちであった。しかしたとえば自己モニタリングの研究など,意識の働きを心理学的に捉えようとする試みは今も続けられている。  一方,個別事例の研究を柱とする心理臨床では,個人の意識の変容をその研究対象としてきた。とりわけ,意識を層構造として捉え無意識を想定する深層心理学の諸派では,自己意識のあり方をどのように考えるかという問題がその始まりから変わらず続いている。たとえば,ユングの『タイプ論』(Jung, C. G.1921)では,個人の意識の働き方が外向性/内向性や心の基本的機能である思考感情直観感覚という概念を通じて詳細に検討されている。しかし,深層心理学では,研究者自身の自己意識に対する理解と他者の心の理解とが密接不可分であるため,さまざまに異なった理論が生まれ,科学的に取り扱いにくい面をもっている。  1990年,アメリカで「脳の十年」宣言が上院で議決されたのを機に,世界的に研究が進められてきており,脳神経系のメカニズムの解明はずいぶんと進んでいる。しかし,メカニズムがメカニズム自体の動きを把握する意識の働きはこの領域でも依然最も研究困難な対象である。現代では意識がきわめて学際的な研究領域になっているということができよう。 →無意識 →自己意識 →意識心理学《安西祐一郎ほか1994;Ey, H.1963−68;立花隆1996;丸野俊一1993→vid.文献 ◆濱野清志

心理学辞典 ページ 70 での意識     単語。