複数辞典一括検索+

恒常現象     【コウジョウゲンショウ】🔗🔉

恒常現象     【コウジョウゲンショウ】 constancy phenomenon  鉛筆を1m離れたところから見ても,それを手元の近くで見てもほぼ同じ大きさである。戸外にいても室内にいてもシャツの白さはほとんど変わらない。自動車の音を遠くから聞いても近くで聞いても音源の大きさの判断にはほとんど影響がない。一般に,感覚器に与えられる近刺激が変化しても,物のさまざまな特徴(大きさ,形,白さ,速度,音の大きさ,重さなど)が比較的恒常に保たれる現象を恒常現象,あるいは知覚的恒常性(perceptual constancy)という。物の特性に応じて,大きさの恒常性形の恒常性白さの恒常性(明るさの恒常性),速度の恒常性音の大きさの恒常性,重さの恒常性などとよび,より一般的には,物の恒常性(thing constancy)とよぶこともある。  恒常性を支えている機構については大別して次の二つの説がある。斟酌説では,知覚は1種類の近刺激のみによって決まるのではなく,他の種類の感覚的情報を斟酌(taking-into-account)することによって達成されると考える。たとえば,大きさの恒常性では,対象がつくる網膜像の大きさだけでなく,対象までの見えの距離を斟酌すると仮定する。また,白さの恒常性では対象が発する輝度だけでなく,対象に与えられる照明光の明るさを斟酌すると仮定する。この説では,複数の近刺激によって与えられた情報を統合することによって知覚が達成されると考えるので,間接知覚説ともいわれる。他方,直接知覚説では近刺激に含まれている不変項(invariance)が,媒介なしに直接的に知覚を導くと考える。たとえば,物の大きさを知覚する事態では,規則的な肌理きめをもった背景の上に対象が置かれることがあるが,対象までの観察距離が変化しても,対象によって覆い隠された肌理の要素の数は不変である。また,白さの知覚の事態では,判断されるべき刺激とその背景の輝度の比は,どのような照明条件のもとでも不変である。したがって,被験者がこのような不変項を検出すれば,大きさあるいは白さの恒常性が得られると仮定する。 →恒常度指数 →近刺激 →遠刺激 →網膜像《Epstein, W.1977;東山篤規1994;Sedgwick, H. A.1986→vid.文献 ◆東山篤規

心理学辞典 ページ 637 での恒常現象     単語。