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言語発達     【ゲンゴハッタツ】🔗🔉

言語発達     【ゲンゴハッタツ】 language development  言語には,音声・語彙・文法言語運用・読み書きなどいろいろな側面がある。言語発達とは,これらの側面で未発達の段階にあった子どもが成長につれて母語話者としての大人になる過程をさす。ただし,言語側面によって進行経過が違うので,言語発達の完成をいつにするか決めるのは難しい。読み書きを除いて小学校入学時点で一応の完成といわれている。  言語発達は一般に次の四つの段階を経る。第一期は初語が出現する1歳頃までの時期で,この時期には言葉の準備として音だし・言語音声の聞き取り・事物の概念・対人的やりとりなどが習得される。第二期は1〜3歳頃の語彙の拡大と文法の基礎ができる時期である。初語から半年ぐらいには,「拡張」「縮小」「取り違い」の間違いが生じることが多い。拡張は語を実際の対象より広い範囲で使う間違い,縮小は語を実際の対象より狭い範囲で使う間違いである。話しはじめて1年を過ぎると間違いも減ってくるが,語の理解が成人と同じものになるには年月が必要である。たとえばアンダーセン(Andersen, E. S.1975)は25種類の容器を子どもに見せその呼び方をたずねた。すると3歳児では特殊例を除いて4種類の呼び名(カップcup,グラスglass,マグmug,ボウルbowl)しか使わなかった。第三期は3〜6歳の文法や伝達能力の充実期である。この時期になると文法的間違いは少なくなるが,文法能力を調べると大人と違った言語行動がみられる。たとえば岩立志津夫1992の研究によれば,他動詞文「ネコがサルをたたく」と「ネコをサルがたたく」を正しく理解できるのは4歳前後からで,それ以前には後者の文を前者と同じに理解する語順方略を利用する傾向が認められた。第四期は6歳からの「二次的ことば」獲得の時期である。二次的ことばとは現在の場所・時間を離れた話し言葉や書き言葉を意味する。4段階の流れを知ることは子どもの成長や教育を考えるうえで役に立つが,個人差を考えると上記の出現時期は目安とすべきだろう。 →言語獲得 →構音の発達 →一語文 →二語文《Fletcher, P. & MacWhinney, B.1995→vid.文献 ◆岩立志津夫

心理学辞典 ページ 602 での言語発達     単語。