クライエント中心療法 【クライエントチュウシンリョウホウ】🔗⭐🔉振
クライエント中心療法 【クライエントチュウシンリョウホウ】
client-centered therapy
ロジャーズ(Rogers, C. R.1951,67b,c)により創始された心理療法で,その初期(1940年代)には
非指示的精神療法とよばれていた。それは,それまでの伝統的な
指示的療法や解釈的な
精神分析に対して,「指示を与えない」という特徴が強調されたことによる。1951年には自らの立場をクライエント(来談者)中心療法と名づけた。問題は何か,どう解決したらよいかについて,最も良く知っているのは,
クライエント自身である。したがってセラピストはクライエントに何かを教える必要はない。クライエントの体験に心を寄せて,その体験を尊重することが重要である。このような「クライエント中心」の態度によって,クライエントは本来の力を十分に発揮し問題を解決していく,と考えたのである。その後,彼は一般の人々の自己成長を目的とした
エンカウンター・グループに力を注ぎ,1974年にはそれまでのすべての活動をまとめて,自らの立場を人間中心のアプローチ(person-centered approach)とよんだ。
彼の理論の重要な概念として実現傾向 (actualizing tendency)がある。これは,有機体に内在し,有機体を維持し強化する方向に全能力を発展させようとする傾向である。ロジャーズは,外部の統制から自由になり自律性に向かう傾向を,人間が本来的に内在していると考える。この傾向の発現を促進するのがセラピストの態度である。人間の成長を促進するセラピストの態度条件として,(1)
共感的理解,(2)無条件の肯定的配慮,(3)真実性(役割行動や防衛的態度をとらず,自身の感情とその表現が一致していること)があげられる。このような態度条件がある場合に,(1)
自己を脅かす現実を自己を守るために歪曲して認知することをやめ,あるがままの状況を正確に受け取る,(2)自己に問いかけ,個々の選択を決定し,その決定をした自己を信頼する,(3)理想を手にするよりも,そのプロセスにあることに満足する,という成長が認められる。彼は,このように有機体としての人間が最高に実現された状態を,十分に機能する人間とよんでいる。
→非指示的カウンセリング →共感的理解《佐治守夫・飯長喜一郎1983》
→vid.文献
◆越川房子








心理学辞典 ページ 523 での【クライエントチュウシンリョウホウ】単語。