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教育工学     【キョウイクコウガク】🔗🔉

教育工学     【キョウイクコウガク】 educational technology  教育工学の概念定義は,時代とともに変遷してきた。まず,西本三十二ら1964による「プログラム学習ティーチング・マシンに代表されるもの」という定義,次に,ラムズデイン(Lumsdaine, A. A.1964)による「教授の目的に用いる機器を開発する工業技術」および「人間の学習過程に関する科学的な知見を教育実践に活用すること」という定義が出された。これに対し,日本教育工学会の初代会長である東洋1976は,工学という語にものの生産と結びつきすぎた既成概念があることを問題視し,工学の備えるべき条件として次の点を強調している。(1)実用的価値を重んじながらも,理学的基礎を要求すること。すなわち,問題解決のためにどうすればよいか(how)を示すだけでなく,それはなぜなのか(why)を示す必要がある。(2)他者にも利用可能なもの,exportable(輸出可能)なものであること。また,アメリカの教育コミュニケーション工学協会(Association for Educational Communications and Technology ; AECT)が1977年に行った定義は,「人間の学習のあらゆる面に関わるさまざまな問題を分析し,それらの問題に対する解決を考案,実行,評価,運営するための,人・手だて・考え・道具・組織を含む複雑な統合過程」となっている。教育工学の歴史的な展開は,坂元昂1990に概観されている。  教育工学は現在,心理学,工学,教育学など,多彩な学問領域からの貢献による学際研究領域として発展しつつある。教育工学を規定する重要なキーコンセプトとして,問題解決のための「plan(設計)―do(実施)―see(評価)のサイクル」をあげておく必要があるだろう。また,初期の教育工学における心理学の貢献は,オペラント条件づけを中心とする行動主義の教授 = 学習理論の成果をプログラム学習などに活かした点に認められたが,現在では,人間の情報処理過程を追究する認知心理学の隆盛により,教授 = 学習を支える認知プロセスの解明とその知見を活かした教授 = 学習過程の改善への取組みにみることができよう。 →プログラム学習 →ティーチング・マシン →教授 = 学習過程 →行動主義 →認知心理学 →vid.文献 ◆三宮真智子

心理学辞典 ページ 460 での教育工学     単語。