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記号     【キゴウ】🔗🔉

記号     【キゴウ】 sign  記号の最も一般的な定義は,「仲間にメッセージを伝えたい時,それを表すものとして用いる知覚的手段」(田中春美ほか1982)または「伝達の場面で相手になんらかの影響を与える物理的な刺激」(芳賀純1988)であるといえよう。伝達において伝えられるべき内容のことを所記といい,伝達するためのものや手段を能記というが(ソシュールの区分),能記は所記から分化して生じるものである。この能記と所記の分化の程度に応じて,アイコン,指標(インデックス),象徴(シンボル),記号(サイン)といういくつかの能記のカテゴリーを設定することができる。  これらのうち,アイコンおよび指標は能記と所記の関係が未分化なものをさす。アイコンはある対象とその具象的な絵のように両者の関係が形態的な類似性に基づくものであるが,指標は外が明るいのを見て朝になったことを知るというような,所記の一部分あるいは一側面を利用する能記であり,非常に具体的で知覚的であるという特徴をもつ。これに対して象徴と記号は能記が所記から分化しているという共通点をもっている。また,これらは,アイコン,指標,あるいは信号と異なり,心像(心的イメージ)または表象の存在を前提としている。  一方,象徴と記号の相違点としては,能記と所記の間の関係の恣意性の程度および社会的慣習への依存度の違いをあげることができる。象徴の場合,能記と所記の関係は自然的で個人的であるが,記号の場合は両者の関係は非常に恣意的である。また,記号の場合は,一般的にはその社会の構成員に共通の理解をもたらす社会的慣習性を強くもっているのが特徴である。記号のなかでもこのような性質を最も明確にもち,最も精巧な体系をなしているのが言語である。 →象徴 →能記/所記 →信号的コミュニケーション →言語《Brooks, N.1964;波多野完治ほか1982;坂野登・天野清1976→vid.文献 ◆田中孝志

心理学辞典 ページ 410 での記号     単語。