記憶障害 【キオクショウガイ】🔗⭐🔉振
記憶障害 【キオクショウガイ】
memory disorder ; disturbance of memory
記憶システムは多段階貯蔵(あるいは多段階処理)モデルとして記述されることが多い。ここでは
短期記憶と長期記憶という二つの貯蔵庫が想定されるが,特に長期記憶を中心とする機能に関して,
作動記憶という段階の設定,あるいは
エピソード記憶と
意味記憶という分類,さらには処理水準という概念が追加されている。また記憶には,情報の登録(
記銘),
保持,そして想起(
再生,再認,再構成)という三つの過程があり,どれが欠けても障害が起きる可能性がある。
記憶障害すなわち健忘をこうした記憶モデルに対応させて分類すると,(1)まず原因により,
脳の機能不全が原因の器質性健忘か,器質的原因のない心因性健忘か,(2)時間特性により,一過性健忘か,
コルサコフ症候群などの持続性健忘か,(3)機能により,短期記憶にかかわる記銘障害か,長期記憶にかかわる想起障害か,(4)病変部位により,皮質性健忘か,軸性健忘か,などに整理することができる。(5)障害の及ぶ範囲によっては,記憶機能全般に及ぶ全健忘と,一部に限定される特殊健忘に分けられる。(6)内容的には,発病以降の新しい経験が記憶できなくなる前向健忘,発病以前の経験が想起できなくなる逆向健忘,意図的でなく記憶を補填するために生じる作話,記憶を誤って想起する
記憶錯誤,過去の記憶が過剰に想起される
記憶亢進,などがある。なお,健忘が生じる前と後の患者の半生を,それぞれ「発症前」「発症後」の期間とよぶ。
病変部位における特徴としては,皮質病変では意味記憶障害が,局所病変では
失語,
失認,
失行などが生じやすい。
間脳・
大脳辺縁系病変では生活史の健忘や
失見当が生じやすいとされる。特殊な記憶障害として,特に局所的病変によって失語,
失読,
失書,失算,失認が生じる。失認のなかで特に顔の認識だけが特異的に障害される場合を
相貌失認という。
→記憶 →記憶モデル →コルサコフ症候群 →失語 →失読 →失書 →失認 →相貌失認
◆増井透





















心理学辞典 ページ 393 での【記憶障害 】単語。