眼球運動 【ガンキュウウンドウ】🔗⭐🔉振
眼球運動 【ガンキュウウンドウ】
eye movement
眼球は水平方向に眼球を回す外直筋と内直筋,垂直方向に回す上直筋と下直筋,視軸のまわりに回転させる上斜筋と下斜筋の収縮・弛緩によって動く。人において観察される眼球運動は三つに分類される。
[1] 頭部や身体の動きにかかわらず外界の像を
網膜上で安定させるために発達した非随意的な眼球運動。これは補償性眼球運動ともよばれ,前庭動眼反射や
前庭眼球振盪しんとう,
視運動性眼球振盪などが含まれる。前庭動眼反射(vestibulo-ocular reflex ; VOR)とは,空間内の一定位置を注視しながら頭部を左右に振った時に生じる頭部運動と反対方向の眼球運動であり,これによって注視を保つ。
前庭系からの情報に基づいて生じる。
[2] 視対象の像を網膜
中心窩かにくるようにするために発達した眼球運動は,随意的なコントロールが可能なので,随意性眼球運動ともよばれる。この種の眼球運動には
サッケード,追跡眼球運動(pursuit eye movement),
輻輳・開散眼球運動が含まれる。追跡眼球運動は運動する視対象を追視するための眼球運動で,追従眼球運動,あるいは滑動性眼球運動(smooth eye movement)ともよばれる。一般に視対象の運動が30°/秒以下であれば人は追跡眼球運動だけで追視できるが,それ以上になるとサッケードが混じる。追跡眼球運動は一般に運動視対象がないと生じないが,それがなくても,たとえば暗中で自分の手の運動を追わせる場合などにも生じる。以上の眼球運動はすべて両眼が同じ方向に動くので共軛きようやく(conjugate)眼球運動であるが,輻輳・開散運動では両眼が反対に動くので,非共軛(disconjugate)眼球運動である。
[3] 眼球の動きを意図的に止めた場合でも,眼球は1/10°以下のきわめて小さな振れ(微振tremor)や揺らぎ運動(slow drifts),微細サッケード(flicks)を含む複雑な動きを示す。これを微細眼球運動とよぶ。微細眼球運動に関係なく視対象の映像を網膜上の一定位置に固定したものが
静止網膜像である。
→眼球運動の手がかり →サッケード →眼球振盪 →前庭眼球振盪 →視運動性眼球振盪 →輻輳 →静止網膜像
◆本田仁視








心理学辞典 ページ 353 での【眼球運動 】単語。