価値 【カチ】🔗⭐🔉振
価値 【カチ】
value
価値は個人や
集団の普遍的な目標であり,行動や出来事や人物への
判断,
態度の形成や表明,行為の選択や合理化などの際に望ましさの基準として機能する。価値が主客いずれの属性であるかについては諸説あるが,現在では見田宗介1966のように客体の属性を価値,主体の属性を価値意識として区別することが多い。態度や
欲求も価値と類似した概念であるが,価値が特定の状況や対象を超越している点,たんなる欲望ではなく望ましさの基準として機能する点,それら自身のうちに階層・序列が認められる点,人格の中心的位置を占める点などにおいて態度や欲求とは異なると考えられている。
価値の具体的な内容についても諸説ある。たとえば,
シュプランガー(Spranger, E.1922)は理論,経済,政治,社会,審美,宗教を「生活形式の6類型」とし,
G. W. オルポートと
ヴァーノン(後にリンゼイ Lindzey, G. も参加)は一対比較と順位づけによってこうした価値の測定を試みた。また,モリス(Morris, C. W.1956)は
クラックホーンの研究をもとに「13の生き方」をあげ,七点尺度と順位づけによる測定を試みた。こうした並列的な類型化に対し,一定の基準によって諸価値間の関係を明示した研究もある。たとえば,ロキーチ(Rokeach, M.1973)は存在の究極的な状態に関わる目的価値(terminal values)と,目的価値を実現するための手段となる手段価値(instrumental values)を区別し,前者を個人的価値と社会的価値,後者を道徳的価値と能力的価値に分けている。また,見田は時間的パースペクティブと社会的パースペクティブを交差させて正・愛・快・利・真・善・美・幸福の諸価値を相互に位置づけ,作田啓一1972は
パーソンズの普遍―個別主義と業績―属性本位の2軸を交差させ,業績・貢献・和合・充足の諸価値を相互に位置づけている。近年ではシュワルツ(Schwartz, S. H.1992)が自己強化―自己超越,恒常―変化の2軸を中心として,慈悲・伝統・適合・安全・勢力・達成・快楽・刺激・自律・普遍からなる諸価値の分類図式を提唱している。
→態度 →欲求 →社会的望ましさ →モリスの価値指向尺度
→vid.文献
◆山田一成









心理学辞典 ページ 317 での【価値 】単語。