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仮説検証     【カセツケンショウ】🔗🔉

仮説検証     【カセツケンショウ】 hypothesis testing  事後の事象に関する予想や予測・見込みを,実際の出来事の観察で確認していく思考法を仮説検証とよぶ。仮説は本来は,観察に先立ってある特定の目的のためにたてられるものであり,こうしたアド・ホックな仮説群からなる。逆に,事象が観察された後でそれを説明するためにたてられる仮説をポスト・ホックな仮説という。また,仮説にみあった事例を列挙して仮説の正しさを主張することを例証(verification)といい,仮説からは導き出せない事例を呈示することで仮説の誤りを主張していくことを反証(falsification)という。  日常的な場面での仮説検証は,例証であることが多い。しかしながらこの方法には論理的な誤謬(条件文推論における,後件肯定の誤謬)が含まれており,仮説の正しさはいくら例証事例を増やしても論理的には保証されない。科学的思考においては,そうした日常的仮説検証の落とし穴を回避する目的で,統計的検定を介した仮説検証を行うことが多い。ここでは,例証によっては仮説の正しさの保証を論理的に行うことが不可能である点から,本来の仮説(実験仮説)とは逆の表現をした仮説(帰無仮説)を立て,その仮説のもとで当該の事象が起こりうる確率を計算したうえで,一定の基準(多くはP<0.05)に従って帰無仮説を棄却し,実験仮説を採用するという迂遠な方法をとる。  日常的な仮説検証の過程を実験室的に研究する方法としては,ブルーナーの仮説検証行動前後の情報量の変化過程の観点からみた仮説検証方略の研究,レヴァインの,フィードバック情報を与えない時の被験者の保持仮説と,4回おきに与えるフィードバック情報での仮説の変化過程をみた研究等がある。  仮説検証行動に影響を与える要因としては,個人内の要因としての認知発達レベル,論理的思考力,情報処理能力等があり,また,課題の複雑さや,社会的に望ましいとされている思考スタイルといった外的な要因も無視できない。 →思考 →検定 →仮説演繹法 →方略 ◆田中俊也

心理学辞典 ページ 306 での仮説検証     単語。