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笑い     【ワライ】🔗🔉

笑い     【ワライ】 laughter  当惑や驚き,不安,悲しみを喚起する刺激に対する反応である場合もあるが,多くはくすぐりなど触覚刺激をはじめとして言葉や視・聴覚的媒体の刺激に対するもので,緊張の解消や快い感情,特にユーモア(おかしさの感じ)体験に伴う人間に特有ともいわれる身体反応,特に顔面を中心とする表出行動である。また対人関係の維持や親和の働きをする社会的,伝達的反応としての笑いもみられる。  微笑と哄笑,苦笑と嘲笑と対照されるように,その強度と心理的起因の違いで多様に区分されるが,典型的な笑いは特有の顔面表情(大頬骨筋の収縮による口角の後上方への伸張,眼輪筋の収縮による眼裂の縮小と目尻の笑い皺など)と呼吸(深い吸気に続く横隔膜や腹筋の痙攣状の収縮,そして咽喉の緊張と弛緩による強く断続的な音声を伴う呼気)の変化を特徴とする。激しい笑いには,全身の筋肉の活動を伴う簡便な運動として,呼吸器,循環器,自律神経系内分泌系などに対する作用による健康維持効果が期待される。  その様態が強弱の違いはあるが類似していることと,発達的に笑い(生後4〜5カ月からみられる声を立てた笑い)よりも微笑(生後すぐにみられる自発的微笑,生後2〜3カ月からみられる外界の対象や人間の顔への社会的微笑)が早く出現することから,笑いは微笑から発展したとも考えられるが,笑いを喚起する刺激には恐怖や驚き(と安心感)をもたらす要素が含まれることから,笑いは発達のより早期に出現する泣き(crying)から派生したとする意見(Morris, D.1977)もある。また系統発生の面では人間の笑いと微笑のおのおのに対応する表情が,霊長類の遊びの時の快さを示す「弛緩して口が開いた」表情と,劣位や防衛を示す,転じては親密さを示す「声を出さずに歯をむき出す」表情に認められるが,人間の笑いと微笑についてはその二つの表情が密接に関連し融合するように進化したともいわれる(van Hooff, J. A.1972)。 →ユーモア →微笑《高橋道子1992;Darwin, C. R.1872→vid.文献 ◆高下保幸

心理学辞典 ページ 2315 でのワライ単語。