臨床心理学 【リンショウシンリガク】🔗⭐🔉振
臨床心理学 【リンショウシンリガク】
clinical psychology
今日,臨床心理学といわれる分野は,多くの専門分野に細分化され,しかもそれらの各領域は,それぞれに専門的な深まりをみせつつある。しかも,臨床心理の分野と関連するさまざまな他の領域との関係をも深めながら,新しい研究分野を展開しつつ,その活動・実践を拡大しつつある。したがって,そうした関連分野との境界線を明確にしながら,かつ今日の臨床心理学の活動領域をすべて包含するような概念規定をすることは,きわめてむずかしくなってきている。あえて定義すれば,「主として心理・行動面の障害の治療・援助,およびこれらの障害の予防,さらに人々の心理・行動面のより健全な向上を図ることをめざす心理学の一専門分野」となろう。
臨床心理学の誕生は,1896年にウィットマー(Witmer, L.)がペンシルヴェニア大学に心理クリニックを開設した時とされ,臨床心理学という用語も彼によって初めて用いられたといわれているが,心理学史上,臨床心理学の展開に大きく寄与したものとしては,
精神測定法と力動心理学(
力学的心理学)をあげることができる。19世紀後半から20世紀初頭にかけて
ゴールトンの
個人差の測定や
J. M. キャッテルのメンタル・テスト作成の試みなどの精神測定法の開発の萌芽をみるが,1905年の
ビネーらによる
知能検査の開発によって個人の
能力の測定,鑑別などの実践研究の領域が大きく進展することとなる。一方,身体的症状が心理的原因によって生じることに注目した
シャルコーおよび
ジャネらの
ヒステリーの研究を経て,
S. フロイトによる
精神分析理論の提唱をみるに至るが,この流れは,マイヤー(Meyer, A.)の力動精神医学の提唱へと展開していく。この動きは,心理学者らの心理治療活動への参加を促すこととなる。このように,主として心理測定,心理診断と心理的治療への心理学徒の援助活動は,今日の臨床心理学の展開への大きな動きをなす基盤となったといえる。なお,標準的な臨床心理学の教科書の最初のものは,ロッティによる『臨床心理学』(Louttit, C. M.1936)とされている。
→精神分析 →精神療法 →行動療法 →カウンセリング →医学的心理学 →異常心理学 →健康心理学 →相談心理学 →人間性心理学 →精神医学 →実存心理学 →行動医学
→vid.文献
◆高山巖













心理学辞典 ページ 2266 での【臨床心理学 】単語。