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流言     【リュウゲン】🔗🔉

流言     【リュウゲン】 rumor  オルポートとポストマン(Allport, G. W. & Postman, L.1947)は流言を,「正確さを証明することのできる具体的なデータがないのに,ふつう,口から耳へと伝えられて,次々と人々の間に言いふらされ信じられていく,出来事にかんする記述」と規定した。また,ある事柄についての流言のひろがり(R)は,集団成員の生活でその事柄がもつ重要性(i)とあいまいさ(a)に比例し,集団のなかにひろがっていくとし,R〜a×i と定式化した。しかし,ロスノウら(Rosnow, R. L. & Fine, G. A.1976)は,流言の伝達にはあいまいさとともに不安が重要な役割を果たしているとする。また,オルポートらは,伝達内容は流言の伝達の過程で不要な部分が切り捨てられ(平均化),一部が誇張され(強調化),さらに意味的に一貫したものに変容させられる(同化)とした。しかし,実際の流言プロセスでは,平均化とは逆に,より複雑な変容が一般的に観察されている。  流言を,人から人へと伝える伝達ゲームのようなコミュニケーション過程として捉える立場に対し,シブタニ(Shibutani, T.1966)は,流言を集団行動としてのあいまいな状況の解釈のプロセスと規定する。周囲にあいまいな出来事が起こったとき,人々はその出来事に納得のいく説明を集団で考えていく。そのプロセスが流言の流布過程であるとする。それゆえ,伝達の過程で次々と新しい解釈が加えられ,結果としてうわさの変容が生ずるとする。  この他に,流言を伝える動機として,ファインら(Fine, G. A. & Rosnow, R. L.1978)は,情報を伝える(得る),人に影響を与える,楽しむためなどをあげる。情報を伝えるという道具的コミュニケーションとしての流言研究が主であったが,楽しむためという自己完結的コミュニケーションの側面からの研究も始まっている。道具的なコミュニケーションを基礎にした従来の枠組では,都市伝説などは十分に解釈できない。情報社会の流言の伝達メディアは,対面的なコミュニケーションに限定されず,雑誌・新聞やテレビ・ラジオのマス・メディアや,電話,パソコン通信なども含まれ複雑な様相を示している。 →デマ →集合行動 →パニック →vid.文献 ◆川上善郎

心理学辞典 ページ 2250 での流言     単語。