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役割     【ヤクワリ】🔗🔉

役割     【ヤクワリ】 role  役割に関する理論化の先駆者としては,しばしばG. H. ミードの業績があげられるが,実際には,ミードの著作では「役割」の概念は「態度」の概念としばしば互換的に使用されている。ここに態度とは,一定の行為として現れる生体の有機的な体制の意で使用されている。この事実からも推測されるように,役割の概念には2種類の含意がある。生物学的・生理学的に理解された「役割」とは,生得的にあらかじめ決定され固定化された社会分業の特定部分を,各個体の内部において実際に遂行させる生理的体制をさす。このことはアリやミツバチの分業社会に妥当する(生物学的な役割の決定論)。他方で社会心理学的に理解された「役割」とは,社会化の過程をへて,特定個人が態度に内在化させた社会規範が,当該個人に対して適切な状況下でそれを自覚的に遂行することを要求するような,一定の役回りのことである。たとえば「親」「教師」「生徒」「医師」などは,このように意識的に遂行される社会心理的な役割である(社会心理的な役割の獲得論)。現在では,人間の遂行する役割は,その多くが社会的に学習され獲得されたものであると考えられているが,各種の役割の固定性と流動性の程度に関してはなお検討の余地があり,役割概念が実体的概念であるか構成概念であるかも微妙な問題である。役割の概念は現在きわめて多義的に使用されており,特定の外面的な行動を形式的に指示することもあれば,規範的に期待される行動,特定の地位と整合的な行動などがこの概念によって意味されることもある。 →役割理論 →学習 →生得説 →社会的地位 →性役割 →集団 →組織《Fleming, D.1967→vid.文献 ◆後藤将之

心理学辞典 ページ 2167 での役割     単語。