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妄想     【モウソウ】🔗🔉

妄想     【モウソウ】 delusion  現実にそぐわないにもかかわらず現実検討能力が障害されているためにそれと認識できず,現実に即したように改編することもできない信念を妄想とよぶ。妄想という概念の理解にあたって重要な点は,それが(1)信念の内容を問題とするものであると同時に,(2)そのような信念をもつにいたった認識,思考判断過程の特徴をも問題とするものであることである。信念の内容の特徴としては,現実にそぐわないこと,世間の常識からずれていること,しばしば強い感情情動に彩られていること,などである。また認識,思考,判断過程の特徴としては,自分の言動や表象をモニターして現実と比較照合する機能,およびその結果として自分の表象を現実に即して改編する機能が障害されており,「いきなり結論へジャンプする」ような判断過程が特徴である。  一般に妄想を一次性妄想と二次性妄想とに区別する。一次性妄想とはなぜそのような妄想が生じたのか了解できないものであり,二次性妄想とは患者の異常体験がもとになり妄想が生じる過程を了解できるものである。一次性妄想には妄想気分,妄想知覚,妄想着想が含まれる。二次性妄想には異常体験である幻覚を説明するような被害関係妄想などが含まれる。  妄想は精神分裂病などの精神病に特徴的であるが,うつ病の場合に訂正が困難な抑うつ気分に合致する信念を示す場合がある。たとえば「自分がこんなに具合が悪いのも,自分が生きる価値のない人間なのだから仕方ありません。自分が悪いのです」と言ったりする場合である。これは罪業妄想とよばれる症状であるが,妄想というからといって上に述べてきたような認識・判断過程の自閉的な特徴があるかというとそうではない。したがって,こうした罪業妄想あるいは貧困妄想は上述の妄想とは区別すべきである。 →被害妄想 →関係妄想 →誇大妄想 →嫉妬妄想 →妊娠妄想 →憑依ひようい妄想 →精神分裂病 →幻覚 ◆丹羽真一

心理学辞典 ページ 2129 での妄想     単語。