メタ記憶 【メタキオク】🔗⭐🔉振
メタ記憶 【メタキオク】
metamemory
認知過程を対象とする
判断や
知識,操作など認知についての認知を
メタ認知というが,このうち
記憶に関するものをメタ記憶とよぶ。メタ記憶には以下のようなものが含まれる。まず,記憶の性質についての知識があげられる。たとえば記憶の心理学的研究について知らない人でも,3〜4個の単語を30秒間覚えておくことはできるが,初めて読んだ20行の詩は短時間であっても覚えていることはできないと判断するだろう。これは,成人は一般に
短期記憶の性質についてある程度正確な知識をもっていることを示す。我々は,
記銘や想起の際にさまざまな記憶方略を用いるが,記憶方略の有効性についての判断もメタ記憶の一部である。
また,自己の記憶能力についての判断,たとえば自分は近ごろ物忘れがひどい,あるいは人の顔を覚えるのが苦手であるなどの判断もメタ記憶に含まれる。さらに,想起にあたってその成否を前もって判断したり,自分が採用している記憶方略が適切に働いているかどうかを判断するなどの記憶過程のモニタリング,およびその結果に基づき自分の記憶過程を制御することもメタ記憶の重要な部分を占める。
メタ記憶は日常生活においてもメモなどの
記憶補助の採用の判断や想起の試みを継続するかどうかの判断など,記憶過程の制御に重要な役割を果たしている。一般にメタ記憶的な知識や判断は通常の成人においてはある程度正確であると考えられている。また,子どもは
発達の過程で徐々にメタ記憶を身につけてゆくが,メタ記憶の発達が成長に伴う記憶成績向上の一因になっていると考えられている。さらに学校での教科の学習における個人差の一部がメタ記憶的モニタリングの個人差に帰せられるとする考え方もある。
→メタ認知 →記憶《Flavell, J. H. & Wellman, H. M.1977》
→vid.文献
◆伊東裕司









心理学辞典 ページ 2115 での【メタキオク】単語。