ミュラー - リヤー錯視 【ミュラーリヤーサクシ】🔗⭐🔉振
ミュラー - リヤー錯視 【ミュラーリヤーサクシ】
M
ller-Lyer illusion
ドイツのミュラー - リヤー(M
ller-Lyer, F. C.)が19世紀末に発見した
幾何学的錯視図形群の総称。今日では,ふつう図aないし図eを標準型とする,長さに関する錯視をさすことが多い。主線の見かけの長さが,矢羽や斜線を付加することによって変化する
錯視である。たとえば図eでは平均的に,右側の外向図形の主線の長さを2〜3割短縮すると,主観的に左側の内向図形の主線と同程度の長さと判断されるようになる。ちなみに線の長さについての
弁別閾いきは,ウェーバー比で100分の1ほどであることが知られている。つまり,100mmと101mmの線の長さは識別できるという時に,その線の両端に斜め線を加えるだけで 20〜30mm変化して見えるということであるから,この錯視効果はかなりのものである。
図表
ミュラー - リヤー錯視は,図形のバリエーションが多様なことも特徴の一つである。一例をあげると,図gもミュラー - リヤーが同じ仲間として創作した図形で,図aとは異なった
刺激布置をしているが,今日,予測どおり両者は類似の錯視傾向を示すことが知られている。一方,錯視傾向は,秩序だってはいるものの,じつに複雑な変動を示すことも特徴である。同じく一例をあげると,図hのように,主線の両端を矢羽の頂点から離していくと,図aとは逆の傾向,すなわち反対錯視が生じる。また,錯視の方向と矢羽の位置の関係が現象面で一致しない,いわゆる
変位の矛盾も生じる。
主要な錯視理論は,ほとんどの場合ミュラー - リヤー錯視を説明しようと努めてきたこともあって,たくさんの錯視図形のなかで代表的かつユニークな地位を占めている。
→幾何学的錯視 →変位の矛盾
◆田中平八








心理学辞典 ページ 2098 での【ミュラーリヤーサクシ】単語。