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ホメオスタシス     【ホメオスタシス】🔗🔉

ホメオスタシス     【ホメオスタシス】 homeostasis  生活体が生命を維持するためには比較的恒常な内的な平衡状態が必要とされ,我々の身体的反応や行動はこの平衡状態を維持するために存在すると考えることもできる。たとえば,身体の温度が高くなりすぎた時には,発汗作用が起きてその温度を低めようとする。また,いったんあるレベルに達した血液中の血糖量は環境の変化や時間経過によって低下し,平衡状態が失われていくが,このとき,我々は飢えを感じ,食物を摂取することによって再び平衡状態を取り戻そうとする。このように,生活体が身体内部の状態を一定に保とうとする自動的な機構を有するという傾向は,従来より内部環境(milieu intrieur)の概念を提唱したベルナール(Bernard, C.)をはじめとする医学者たちに知られていた。生理学者キャノン(Cannon, W. B.1932)は,空腹に関する生理学的データをはじめとした豊富なデータをもとにこの傾向を実証し,ホメオスタシスとよんだ。  この概念を重視したハルは,ホメオスタティックな不均衡を解消するために要求(欲求)および動因が生起し,それに導かれた行動によって動因や要求が低減されることが当該行動を強化するための最も大きな要因であるとした動因低減説を提唱している。動因低減説は行動主義心理学による学習の研究の基礎となった理論でもあった。このようにホメオスタシスの概念は後の心理学的行動研究に大きな影響を与えた点で意義深いものである。  しかしながら,性行動や母性行動など生理学的な不均衡が前提とされない行動や,生理学的な基礎をもたない認知的な要因によって発現される行動の存在は,すべての行動がホメオスタティックな要因に導かれるものではないことを示唆している。 →動因低減説 →交感神経系 →自律神経系 →有機感覚 →vid.文献 ◆赤井誠生

心理学辞典 ページ 2047 でのホメオスタシス単語。