弁別閾 【ベンベツイキ】🔗⭐🔉振
弁別閾 【ベンベツイキ】
discriminative threshold ; threshold ; differential limen ; DL
識別可能な
刺激の値のこと。
実験心理学で多用される訓練手続を念頭においた用語である。識別の手がかりになる物理的な特徴を
弁別刺激とよび,識別を学ぶことを
弁別学習とよぶ。弁別学習の
課題の例として,トランプのカードのうち,ハート印が正しく垂直に描かれている方を選べば正解,斜めに傾いている方を選べば誤り,という課題があるとしよう。工場での製品の出荷検査だと思えば,似た状況といえる。傾きの角度が何度くらいまでだったら識別できるか。わずかに1°傾いただけでは垂直と区別できず,5°傾けば傾いていると識別できたとしよう。この場合,ハート印の傾きの弁別閾いき(相対弁別閾 relative threshold)は5°だった,と表現される。次に,ハート印のカードの呈示距離を徐々に遠くしてみよう。3mではまだ確認できるが,5mになるとハート印かダイヤモンド印か識別できなくなったとしよう。この場合,トランプのハート印の弁別閾(絶対弁別閾 absolute threshold)は距離にして5mだった,と表現される。前者のように変化が識別される最小の差異を相対弁別閾とよび,後者のように存在が識別される最小の値を絶対弁別閾とよぶ。
弁別閾の測定法としては,
恒常法,
極限法,上下法(
トラッキング法),再生法といった方法がある。弁別閾の測定は,呈示する刺激の値を変化させるという点で,弁別学習における
般化の程度を検出する作業だといえる。弁別閾の測定によって,その刺激がどう知覚されているかを同定することができる。
→弁別 →般化 →同時弁別 →継時弁別 →強制選択法
◆松沢哲郎









心理学辞典 ページ 2018 での【弁別閾 】単語。