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文法     【ブンポウ】🔗🔉

文法     【ブンポウ】 grammar  ある言語に特徴的であるような構造記述の集合で,音を意味に結びつけるシステム。母語話者の母語使用能力を定式化したものともいえる。構造言語学では音韻論形態論などと対比され,おもに語の結合に関連する研究部門である。記号論では,しばしば統語論と同一視され,モリス(Morris, C. W.)によれば,記号とそれが指し示す対象との関係を扱う意味論,記号とその使用者との関係を取り扱う語用論とならんで記号論の一分野を形成し,記号と記号との関係を扱う研究とされる。  文法は,その用途や依拠する理論,方法論等によって種々のものが成立しうる。いわゆる学校文法,チョムスキーらの変形生成文法,フィルモア(Fillmore, C.)の格文法,プラハ学派に由来する機能文法,ハリデイ(Halliday, M. A. K.)の体系文法等のほか,個別文法/普遍文法,形式文法/概念文法等の区分も可能である。このうち心理言語学に強い影響を与えたのは,変形生成文法であり,句構造規則や変形規則の心理的実在性の検証に関して数多くの実験が行われた。しかし元来,生成文法は,人間が言語を理解したり生み出したりする際に使用すると考えられる広義の文法的知識とはほとんど無関係に立てられた理論であり,統語解析や言語産出機構と文法理論を対応づける方法論が存在していない。一方,近年発展の著しい計算言語学などの領域では,統語解析に直接援用できる理論的枠組として文法を考えるため,文法観にずれが生じている。なお,近年の認知的言語心理学の領域では,フィルモアの格文法などが,人工知能の分野で研究が進められた意味ネットワークなどの概念と結びつけられて大きな理論的寄与を果たしている。 →統語論 →生成文法 →格文法 →普遍文法 →一般化句構造文法 →機能文法 →語彙機能文法 →軸語文法 →範疇文法 →物語文法 →モンタギュー文法 ◆橋元良明

心理学辞典 ページ 1978 での文法     単語。